こんにちは、サメハダです。
7月24日にトライオートETF認定ビルダーさんの新ロジックが追加されました。

今回は、認定ビルダーさんたちが採用した新旧4銘柄+米国レバレッジETF2銘柄の特徴を、定量的に分析していきます。

ビルダーさんに新しく採用された銘柄は要チェックだね!
はじめに:追加されたロジック
まずは追加された全銘柄を確認しましょう。7月24日付で5人の認定ビルダーさんの新ロジックが公開されています。

- 2億り夫婦さん・・・ラッセル2000
- 為替研究所Yukiさん・・・投資適格社債
- 鈴さん、あっきんさん、サトウカズオさん・・・ナスダック100
新ロジックではラッセル2000、投資適格社債、ナスダック100の3銘柄が採用されています。(※なお、2億り夫婦さんのプラグラム名である「ラッセル12」とは、利確幅12ドル設定という戦略が由来です。銘柄名はラッセル2000なのでお間違いなく。)
各銘柄の概要と採用理由について見ていきましょう。
新ロジックの銘柄説明と採用理由
採用銘柄①:ラッセル2000
ラッセル2000は、米国小型株2000銘柄で構成される指数であるiシェアーズラッセル2000ETF【小型株】に連動します。以下、ティッカーコードであるIWMと表記します。

採用理由
公式の新ロジック紹介ページにて2億り夫婦さんが採用理由をご説明されています。要約すると、ボラティリティの高さが決め手と読み取れました。(全文は公式ページでご確認いただけます。)
それは、上にも書きましたが、ラッセル指数2000のボラティリティが高いからです。誤解を恐れずに言えば、構成銘柄の中小企業が倒産しうるからです。
INVAST NAVI 認定ビルダー「ラッセル12_小型株」について
採用銘柄②:投資適格社債
投資適格社債は、シェアーズ iBoxx米ドル建て投資適格社債ETFに連動します。株でなく債券です。これは特殊な銘柄かもしれません。以下、ティッカーコードであるLQDと表記します。

採用理由
新ロジックの紹介ページにYukiさんによる詳しい説明があります。採用理由として以下を上げています。
・長期で見てもある程度レンジ相場になっている。
INVASTNAVI 認定ビルダー「為替研究所_投資適格社債」について
・社債であるため買い持ちなら分配金も貰える。
・当面の相場で考えると、テーパリング観測もあって値動きがある程度ありそう(金利上昇は債券価格の下落方向に影響するのが一般論)。
Yukiさんご本人も「変化球なものを選んでみました」と述べており、あえて株価指数銘柄を外したようです。
採用銘柄③:ナスダック100
ナスダック100はナスダック100指数に連動します。有名なナストリと同じ原資産であり、こちらはトリプルでなくシングルのバージョンです。以下、QQQと表記します。

採用理由
皆さん採用理由については、①値動きが激しいこと、②上昇が期待できることを上げています。
チャートは長期的に上昇傾向。値動きが激しいので含み損も発生しやすいが、利益も狙いやすい
INVAST NAVI 認定ビルダー「私は眠る、24時間働く_ナスダック100」について
上昇傾向&変動の激しいナスダック100
INVAST NAVI 認定ビルダー「大暴落でも継続運用_ナスダック100」について
(公式サイト内では言及なし)
INVAST NAVI 認定ビルダー「あっきんゾーン戦略_ナスダック100」について
銘柄がTQQQからQQQへ変わったことで、レンジも変更されています。さらに、ロスカットレートを皆さん引き上げたようです。
認定ビルダー | 想定資金 | カバーする下落率 |
---|---|---|
サトウカズオさん | 60万円 | ▲30% |
鈴さん | 100万円 | ▲50% |
あっきんさん | 50万円 | ▲50% |
カバーする下落率については、皆さんしっかり研究されています。詳しくは上記リンクから公式ページをご確認ください。ただ、旧ロジックと異なり暴落時の下落率次第では理論上ロスカットが発生します。これは大事な変更点だと思います。ご留意ください。
旧ロジックの比較についてはこちらの記事で紹介しています。
何を基準に銘柄を選択するか
トライオートETFでは多くの選択肢の中から銘柄を選ぶことができます。そのとき何を基準に銘柄を吟味するでしょうか?
ついこの前まで、認定ビルダーさん5人全員がTQQQを採用していましたが、この時代の銘柄選択の考え方が大きなヒントになりそうです。この”TQQQ時代”についておさらいしてみましょう。
この記事を執筆時点では、旧ロジックの紹介ページがまだ公式サイトにて公開されています(2020/1/24付)。全文等はこちらからご確認ください。
TQQQ時代の銘柄選択の考え方
例として、2億り夫婦さん、あっきんさん、鈴さんがTQQQを選んだ理由を抜粋します。
ナスダック100トリプルはNASDAQ指数を3倍したものなので、非常に大きな上昇を示しています。
INVAST NAVI 認定ビルダー「トリプル&トリプル_ナスダック100トリプル」について
ナスダック100指数は激しく上下しながら長期的に上昇していくことが期待されますが、このような動きは、「下がったら買い、上がったら売る」という自動売買のシステムにうってつけです。
TQQQはナスダック100指数(QQQ)に比べ一日の値動きが3倍になっているので上げ幅も下げ幅も大きいという特徴があります。それだけ値動きが大きいということは自動売買でこまめに利益を取ることを狙うのに向いている銘柄と言えると思います。
INVAST NAVI 認定ビルダー「あっきんゾーン戦略_ナスダック100トリプル」について
ナスダック100”トリプル”は通常のナスダック100指数に比べて、3倍の値動きになるように設計されており、『長期的に上昇傾向かつ激しく上下に振動する』銘柄なのです。
INVAST NAVI 認定ビルダー「ナスダック100トリプル_大暴落でも継続運用」について
共通して、①長期的な上昇トレンドと②値動きの激しさの2つを上げています。
- ナスダック100が長期的に上昇傾向(①長期的な上昇トレンド)
- トリプルは値動きが大きくなり自動売買向き(②値動きの激しさ)

TQQQ以外でこういう商品ないの?
「価格(①長期的な上昇トレンド)&ボラティリティ(②値動きの激しさ)」この2つがTQQQに代わる新たな戦略を考えるために重要であることは、間違いなさそうです。
これを踏まえて、追加された新ロジック銘柄と人気銘柄の特徴をデータから見ていきましょう。

ピンチはチャンス!
新旧ロジックに採用された銘柄の比較
対象銘柄
対象は以下6銘柄です。今回採用された新銘柄3つ(IWM、LQD、QQQ)、旧銘柄であるTQQQ、米国株レバレッジETFの2銘柄(SSO、FAS)の合計6銘柄としました。
銘柄名 | 表記 (ティッカー) | 区分 |
---|---|---|
iシェアーズ ラッセル2000ETF | IWM | 新 |
iシェアーズ 投資適格社債ETF | LQD | 新 |
ナスダック100 | QQQ | 新 |
ナスダック100トリプル | TQQQ | 旧 |
S&P500ダブル | SSO | 米国/2倍 |
金融株トリプル | FAS | 米国/3倍 |
インプットデータと分析方法
今回もインプットデータはインベスティング・ドットコムさんの週足価格情報を使わせていただきました。いつもありがとうございます。

Investing.comさん、ありがとうございます!
分析には、エクセルとPythonを使用しています。
①価格チャート(価格推移)
まずはシンプルに過去10年の価格チャートを確認しましょう。2010/2/14~2021/7/18のデータです。

銘柄 | 価格(2020/2/14) | 価格(2021/7/18) |
---|---|---|
IWM | 63.06 ㌦ | 219.55 ㌦ |
LQD | 104.19 ㌦ | 135.77 ㌦ |
QQQ | 44.64 ㌦ | 368.20 ㌦ |
TQQQ | 0.93 ㌦ | 136.56 ㌦ |
SSO | 9.46 ㌦ | 125.72 ㌦ |
FAS | 10.09 ㌦ | 104.24 ㌦ |
- 全体的に右肩上がり。LQDだけ債券なので平坦に見えるが、表の数値ではしっかり上昇している。
- ここ最近の株価上昇も寄与し、上昇しない銘柄はなさそう。
- 期間を短くするとまた違った見え方になるかも。
- 上がる上がらないの議論は最大級に難しい。また自動売買では必ずしも上がり続ける必要もない。
- 過度なセクター集中を避けさえすれば、成長市場である米国の株価は長期的な上昇が期待できる。
- 長期的に価格が上昇するという条件ではあまり差がつかないかもしれない。
価格では差がつきにくいかもしれません。次にボラティリティはどうでしょうか。
②リスクとリターン
値動きを分析するために、週足の変化率を調べます。ここではトレンドを除去するために対数差乖離率という自然対数の差分を取ったものを変化率と定義して進めます。
収益率は対数差分で近似できます。

変化率の統計量は次のようになりました。
銘柄 | 平均 | 中央値 | 標準偏差 | 最小 | 最大 | データ数 |
---|---|---|---|---|---|---|
IWM | 0.21% | 0.43% | 3.05% | -19.0% | 16.8% | 596 |
LQD | 0.04% | 0.17% | 1.22% | -14.2% | 13.7% | 596 |
QQQ | 0.35% | 0.50% | 2.51% | -11.9% | 9.1% | 596 |
TQQQ | 0.84% | 1.43% | 7.68% | -47.1% | 25.4% | 596 |
FAS | 0.39% | 0.96% | 8.79% | -82.4% | 49.2% | 596 |
SSO | 0.43% | 0.73% | 4.56% | -35.3% | 22.2% | 596 |
リスクとして標準偏差を、リターンとして平均値を散布図にプロットしてみます。

- 最もハイリスク・ハイリターンはTQQQ。最もローリスク・ローリターンはLQD。
- FASのリターンはQQQと同水準であるが、リスクが高い。(TQQQよりもハイリスク)
- SSO、QQQ、IWMは割と近い関係。この3つの中ではSSOが最もハイリスク・ハイリターン。
- QQQは比較的高いリターンの割にリスクが低い。3つの中では優秀。
- IWMはリターンの割にリスクが高い。(※直近のパフォーマンスは良いという話しあり。)
リスクとリターンは一般的には表裏一体の関係です。

「リターンはできるだけ大きく、リスクはできるだけ小さく」と考えるのが一般的です。つまり右下にあるものは悪く、左上にあるものは良いと判断できます。現実ではリターンを求めるとリスクも大きくなる傾向にあります。

③週足変化率の分布
②ではリスク・リターンという1つに集約した情報だけを見ました。もう少し視点を広げて、時系列の変化率を見てみます。変化率を時系列グラフにするとこのような形となります。

縦軸の数字がそろっていないのでややわかりにくいですが、上3つ(IWM、LQD、QQQ)は変化率が相対的に小さく、下3つ(TQQQ、SSO、FAS)は変化率が大きいです。
同じデータについて、時系列でなく分布を見てみます。縦軸の数値をそろえます。こちらの方が少しだけわかりやすいですね。

- FAS、TQQQはボラが大きく、LQDはボラが小さい。
- どの銘柄もコロナショック時に大きな変化率を記録している。
- SSOとIWMは上ひげと下ひげが見えるが、QQQは見えない。QQQは人気銘柄であり、下落が好感され価格が戻りやすい。週の価格は比較的安定していると考えられる。
3つの切り口での比較は以上です。
総括
- TQQQ、FASに続いて、レバレッジETFであるSSOのボラティリティが高かったです。
- QQQとIWMのボラティリティはSSOよりやや低いですが、十分な水準と思われます。十分なパフォーマンスが期待できそうな印象です。
- 債券についてはクーポンも考慮した独特の手法です。今後の発展性が期待できるかもしれません。
- 小型株と債券については、他にも様々な特徴があります。引き続きリサーチしてご報告したいと思います。
- 投資の判断軸は人それぞれです。証券会社や認定ビルダーさんの意図や属性にも目を向けましょう。
- 国際規制の風向きは引き続き要チェックです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は認定ビルダーさんの新ロジック公開に際し、新たに採用された銘柄のボラティリティを分析しました。
これまでTQQQ一色だった手法に個別株や債券が加わり、選択の幅が広がりましたね!分析のバリエーションも一層増えそうです。
面白そうな切り口があればどんどんチャレンジしていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回は以上です。ではまた!

自分に合った戦略が大切だね!
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