こんにちは、サメハダです。
FIREムーブメントにおいて有名な4%ルール。根拠となっているのは”トリニティスタディ”という研究論文です。
多くの方が名前を聞いたことがあるかもしれませんが、実際にどんな内容かご存じでしょうか?
困ったことに原文は英語で書かれているため、なかなかとっつきにくいです。
そこで今回は、英語の原文を日本語で解説し、後半では今の日本人にとって注意ポイントを考察したいと思います。

この機会に効率的にナナメ読みしちゃうおう!
要約に当たっては、論文の一部を引用させていただいております。原文を参照される場合はこちらからご確認ください。偉大なる研究成果に感謝致します。
トリニティ・スタディとは
概要
トリニティスタディは、1998年にアメリカテキサス州のサンアントニオにあるトリニティ大学の3人の教授たちによる論文です。

「トリニティスタディ」とは呼び名は通称であり、論文の正式なタイトルは次の通りです。日本語だと「持続可能な引出率の選択」となります。
”Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable”
(By Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)『退職金の節約:持続可能な引出率の選択』
- 退職後の収入計画のため、資産からの妥当な引出率に関して研究したもの。
- 1926年~1995年の価格変動を元に分析。
- 株式と債券で構成されるポートフォリオを想定。
- 米国のインフレ率についても言及。
- 結果として、3%~4%の引出率が有効と考えられる。

パラグラフごとに内容を見ていこう!

FIREに向けて基礎となる重要な考え方です。
構成に沿って丁寧に解説していきます!
トリニティスタディ:論文の内容
パラグラフ①:導入
著者は、引出率が高すぎると資産が枯渇してしまい、逆に低すぎると生活水準が低下してしまうというジレンマについて問題提起しています。
”The dilemma is that if they withdraw too much, they prematurely exhaust the portfolio, but if they withdraw too little, they unnecessarily lower their standard of living.”
引き出し額が多すぎるとポートフォリオが早々に枯渇してしまい、逆に引き出し額が少なすぎると生活水準が不必要に低下してしまうというジレンマに陥ります。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
また、最適な引出率は人によって異なるため、ただ一つに限定することはできないと述べています。さらに市場には確実性から存在するため、引出率は計画した上で、状況に応じて上方修正・下方修正されるべきだと述べています。
” Because of these highly personal behavioral traits, circumstances, and goals, no single withdrawal rate appears appropriate for every investor.”
個人的な行動特性、状況、目標があるため、すべての投資家に適した単一の引き出し率はないと思われる。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
” The investor needs to keep in mind that selection of a withdrawal rate is not a matter of contract but rather a matter of planning.”
投資家は、引出率の選択は”取り決め”ではなく、”計画”の問題であることを心に留めておく必要がある。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
そのため、テーマは”ある期間において、どの程度の引出率が持続する可能性があるのか”と言い換えることができ、この観点について過去データの成功率を分析すると述べています。
” Or stated differently, what withdrawal rate is likely to be sustainable during a specified number of years?
To help in the selection of a withdrawal rate, the following sections provide information on the historical success of various withdrawal rates from portfolios of stocks and bonds.”
別の言い方をすれば、指定された年数の間、どの程度の引出率が持続する可能性があるのか?
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
引出率の選択のために、以下のセクションでは 以下のセクションでは、株式ポートフォリオからの様々な引き出し率の歴史的成功に関する情報を提供します。
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)

パラグラフ①はこれで終わり!
パラグラフ②:過去データの使用
過去の平均リターンは有益な情報であるものの、市場の不確実性による短期的なリターンのブレを無視している点で問題もあると述べています。
” This analytical approach provides useful insights, but it ignores the critical short-term variations in rates of return.”
この分析方法は有益な洞察を与えてくれますが、重要な短期的な収益率の変動を無視しています。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
そこで、平均リターンではなく、持続可能な引出率を参考とするアプローチを推奨しています。
” A sustainable withdrawal rate (as a percentage of initial portfolio value) is one that does not exhaust a portfolio of stocks and bonds despite the annual dollar withdrawals during a specified number of years (the payout period).”
持続可能な引出率(初期ポートフォリオ価値に対する割合)とは、指定された年数(ペイアウト期間)の間に毎年ドルを引き出しても、株式や債券のポートフォリオが枯渇しない率のことです。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
引出率の算出に当たっては、次のような条件の中で計測されています。
- 引出率は3%~12%の範囲で10種用意
- 引出期間(ペイアウト期間)は15年、20年、25年、30年の4種用意
- ポートフォリオの資産配分は、株式100%/債券0%、株式75%/債券25%、株式50%/債券50%、株式25%/債券75%、株式0%/債券100%の5種用意(※株式はS$P500、債券は長期高格付社債を使用)
- インフレは考慮するが、税金と取引コストは考慮しない。
- 毎年の引出は初年度の引出し率に基づく。(定額)

引出率10種×ペイアウト期間4種×資産配分5種=計200種のポートフォリオを用意したんだって!
”Our study measured the impact of withdrawal rates on portfolio values using the following approach:
• Annual withdrawal rates ranged from 3% to 12%. This wide range contains withdrawal rates of interest to most investors and will clearly show their impact on the portfolio success rate.
• The payout periods examined were 15 years, 20 years, 25 years, and 30 years. These payout periods are consistent with the life expectancy of most retirees.
• The portfolio allocations examined were: 100% stocks; 75% stocks/25% bonds; 50% stocks/50% bonds; 25% stocks/75% bonds; 100% bonds. The Standard & Poor’s 500 index was used to represent stocks, and long-term, high-grade corporate bonds were used to represent bonds.
• The study did not adjust for taxes or transaction costs.
• Historical annual return data were used to calculate ending portfolio values after annual dollar withdrawals; the annual dollar withdrawals are based on a first-year withdrawal rate that is a percentage of the initial portfolio value.”研究では、引出率がポートフォリオの価値に与える影響を以下のアプローチで測定した。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
・年間引出率は、3%から12%の範囲とした。これは、多くの投資家が関心を持つ引き出し率を含んでおり、ポートフォリオの成功率への影響を明確に示すものである。
・ペイアウト期間は、15 年、20 年、25 年、30 年とした。これらのペイアウト期間は、ほとんどの退職者の平均余命と一致している。
・検討したポートフォリオのアロケーションは 株式100%、株式75%/債券25%、株式50%/債券50%、株式25%/債券75%、債券100%。株式はStandard & Poor’s 500 Index、債券は長期のハイグレード社債を使用しました。
・この調査では、税金や取引コストの調整は行っていません。
・過去の年間リターンデータを用いて、毎年ドルを引き出した後の最終的なポートフォリオの価値を算出した。毎年ドルを引き出す場合は、最初のポートフォリオの価値に対するパーセンテージである初年度の引出率に基づいている。
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)

パラグラフ②は終わりだよ!
パラグラフ③:ポートフォリオ成功率
著者はポートフォリオの”成功率”という指標を定義しています。投資家が計画した期間(退職者の余命に相当)を越えて、資産が長持ちした場合に成功とみなされます。
”The portfolio success rate responds to the variously ex-pressed problem of an investor running out of money during the retirement years. If an investor’s portfolio outlives the investor’s planned payout period, then it is counted a success.”
ポートフォリオの成功率は、様々な形で懸念されている「老後の資金不足」という問題に対応するものです。投資家のポートフォリオが、投資家が予定していた支払い期間よりも長持ちすれば、成功とみなされます。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
論文ではここから成功率表1~3に対して記述が続きます。オリジナルの成功率表は200種のポートフォリオを一覧にしており、情報が多いです。より分かりやすくするため情報を絞ったグラフを用いて解説します。

表1:1926年~1995年(過去70年間)における成功率
グラフの数値は過去70年間の成功率(%)を表します。





- 最初の表の左上の数値(株式100%)では、15年の期間において、引出率3%と4%の場合は、過去70年間のすべての期間において、100%の成功率を維持したことを示す。引出率が5%と6%になった場合は、成功率が98%に低下することを示す。
→引出率が高くなるほど成功率は低下する。 - さらに引出率を一定にした場合、引出期間が長くなるほど成功率は低下する。
→そのためグラフは基本的には右下がりの傾向となる。 - 債券は株式に比べて上昇可能性が低いため、再掲を中心としたポートフォリオの成功率は0になることもある。ただし、分散効果が働くため、株式50%債券50%のポートフォリオは株式がそれより多いポートフォリオと比較して7%以下のすべて引出期間において成功率が高い。
- 特に、3%と4%の引出率は、どの引出期間、どの資産配分においても高い成功率を示す。

パラグラフ③はこれで終わり!
パラグラフ④:直近の50年間
直近70年間は、1930年代の世界恐慌と1945年までの第二次世界大戦を含みます。これらを除いた直近50年についても計測しています。
表2:1946年~1995年(過去50年間)における成功率
グラフの数値は過去50年間の成功率(%)を表します。





- 表1で用いた方法に基づき、分析期間を1946年~1995年に限定。
- 70年間と比較し、株式を50%以上含むポートフォリオにおいて成功率が上昇した。一方、債券を中心としたポートフォリオの上昇率はほとんど改善されない。
- 引出期間15年であれば、8%~9%の引出率も合理的。引出期間20年以上であれば、持続可能な引出率は7%~8%程度になる。

パラグラフ④はこれで終わりだよ!
パラグラフ⑤:インフレはどうなる?
退職した個人はインフレリスクに直面します。インフレは購買力の低下をもたらすため、インフレ時はその影響を打ち消すために引出を増やす必要があります。逆にデフレ時は引出を減らす必要があります。著者はインフレ調整後の成功率についても測定しています。
表3:インフレ考慮後の成功率
グラフの数値は過去70年間のインフレ考慮後の成功率(%)を表します。





- 表3は、表1で用いた方法に基づき、インフレ・デフレ調整後の引出率を加味したポートフォリオの成功率を示す。
- インフレ調整に関わらず、引出率3%~4%の株式中心のポートフォリオアは高い成功率を維持する。
- 5%~7%は引出期間によってそれなりの結果。7%以上の引出率はすべての引出期間において劣っている。
- インフレ計算に用いる消費者物価指数(CPI)は実態よりも過大評価されていると考えられるため、インフレ考慮の計算自体にも問題がある。

パラグラフ⑤はここで終わり!
パラグラフ⑥:ターミナル・バリュー
著者は、引出率の計画を立てるための、有効指標として、引出終了時の資産額(ターミナル・バリュー)も計測しています。
株式か債券どちらか100%の極端なポートフォリオを除く、残る3つのポートフォリオにおいて1,000ドルのターミナル・バリューを計測しています。
こちらもオリジナルの表は情報が多いため、より分かりやすくするため、情報を絞ったグラフを用いて解説します。


1,000ドルにおける試算です。1,000,000ドル(為替が1ドル100円なら約1億円)の場合は、1,000倍することになります。
表4:ターミナル・バリュー(引出終了時の資産額)
グラフの数値は1,000ドルの資産を取り崩した場合における取り崩し終了時の資産額(ドル)を表します。












- 1926年から1995年までの70年間のデータ群において20年間の価格変動データは51回分あり、これらの平均は2,435ドル(原文における引出率の平均は7%)。つまり、毎年ポートフォリオの初期値の7%を20年間払い出した後、資産が2,435ドル残り、通常相続人に引き継がれることになる。
- 最悪の20年間のターミナル・バリューは0ドル。最高は7,047ドル。すべての結果の中央値は2,076ドル。
- 株式を中心としたポートフォリオは引出期間が長くなるにつれて、ターミナル・バリューの中央値が大きくなるが、最小値が0になる頻度も高くなる。引出期間が長い投資家は途中で引出し率を下げないと、場合によっては失敗となる。
- 債券の割合が増えるとターミナル・バリューの中央値は減少するが、最小値は増加し、0の頻度が減少する。

1,000ドルから20年間取り崩したのに、最終的に平均2,076ドルまで増えたという驚きの結果。それだけ株式投資の効果は大きいということですね。

パラグラフ⑥はこれで終わりです!
パラグラフ⑦:結論
著者は、人によって引出し期間、リスク回避の度合い、消費の好み等が異なるため、適切な引出率は1つではないと前置きした上で、次にように一般的な結論を5つ述べている。
” It is clear from the results in Tables 1 through 4 that the answer depends on the mix of stocks and bonds in the portfolio, a planned payout period, and on a retiree’s degree of risk aversion and preferences for consumption patterns. Nonetheless, there are some general conclusions:”
表1から表4の結果から明らかなように、その答えは、ポートフォリオにおける株式と債券の組み合わせ、計画された支払い期間、そして退職者のリスク回避の度合いや消費パターンの好みによって異なる。しかし、いくつかの一般的な結論がある。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
著者による結論①
早期の退職者ほど支払期間が長くなるため、引出率を下げるべき。
” Early retirees who anticipate long payout periods should plan on lower withdrawal rates.”
払い込み期間が長くなることが予想されるアーリーリタイアの方は、引き出し率を低く設定することをお勧めします。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
著者による結論②
債券が含まれていると成功率があがるが、反面株式によるアップサイドの可能性を犠牲にしてしまう。普通株に50%以上を配分することで利益を得られる可能性が高い。
”Most retirees would likely benefit from allocating at least 50% to common stocks.”
ほとんどの退職者は、普通株に少なくとも50%を配分することで利益を得ることができるでしょう。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
著者による結論③
インフレ調整を加味する場合は引下率を下げる必要がある。
”Retirees who demand CPI-adjusted withdrawals during their retirement years must accept a substantially reduced withdrawal rate from the initial portfolio.”
退職者が退職期間中にCPI調整後の引き出しを要求する場合、初期ポートフォリオからの引き出し率を大幅に下げることを受け入れなければなりません。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
著者による結論④
株式を中心としてポートフォリオの場合、3%や4%の引出率は非常に保守的な数値と考えられる。
”For stock-dominated portfolios, withdrawal rates of 3% and 4% represent exceedingly conservative behavior.”
株式を中心としたポートフォリオの場合、引出率が3%や4%というのは非常に保守的な行動です。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)
著者による結論⑤
15年以下の短期であれば、8%や9%の引出率でも持続可能と考えられる。
”For short payout periods (15 years or less), withdrawal rates of 8% or 9% from stock-dominated portfolios appear to be sustainable.”
短期間(15年以下)であれば、株式を中心としたポートフォリオからの引出率は8%または9%が持続可能であると思われる。
Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable
(Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz)

パラグラフ⑦も終わり。これで論文は読み終わったよ!お疲れ様!
考察
論文の読破、お疲れ様でした。
グラフの量が多くて驚かれたかもしれません。債券の割合や引出率をほぼ決めかけている方にとっては、他の情報はノイズだと思うので、非表示にできるよう工夫しました。
偉大な研究であるトリニティスタディですが、みなさんどのような感想を持ったでしょうか。
僭越ながら私の感想を述べた上で、次に、”今の日本”との比較を考えていきたいと思います。
論文を実際に読んだ感想
- 4%が最適とは言っていない。
- 定額引出率の研究であった。
- 安全のため保守的に考えることが推奨されているが、4%以上の引出率でも成功率が十分高そう。
著者は、4%が最適とは言っていません。最適な引出率は人によって違うと再三述べた上で、”conservative”、つまり保守的な考え方によって安全面を考慮するべきと述べていますが。結論では3%や4%の成功率が高いと結論づけていますが、もちろん最適かどうかは人によって変わりますし、これからもその状態が続くとは限りません。
ただし、5%以上の成功率も十分高いので個人のリスク許容度を見極めながら調整することで、高い引出率でも長期運用ができそうだと私は感じました。
特に、計算の前提が”定額ルール”だと分かったことは収穫でした。世間で言われている4%ルールは、定率4%ルールのことを指すことがほとんどだと思うので、これらの研究は後続に行われたのだと思います。
トリニティスタディの研究者による追加研究や集計期間を広げた研究などがあるようです。これらに情報も今後発信していきたいと思います。
FPA(Financial Planning Association)の研究
ERN(Early Retirement Now)の研究
”今の日本”基準で考えると
トリニティスタディで考慮されていないが、日本でFIREしようとしている人にとっては重要なポイントがいくつかあると思います。
- 日米のインフレ率
- ドル円為替レート
- 税金
- 保守性と債券のバランス
日米のインフレ率
日米にはインフレ率の差があります。日本は米国ほど高くありません。ご存じの通り日本はデフレ期間が長く、超高齢社会と出生率低下という経済的には厳しい状況にあります。一方米国は伸び続けています。日米で差がありこの傾向は今後も続くを考えられます。
グラフは私がIMFから拝借したインフレ率のデータです。将来予想値が含まれます。日本でインフレ考慮後の引出率を考えるに当たっては上振れ要因と考えられる可能性が高いと思います。(日本人としては複雑な心境ですが。)

IMFのサイトでは平均値以外の情報も公開されています。項目をクエリで選択でき面白いです。

日米の為替レート
図は直近10年のドル円レートです。
為替レートを予想し、対応することは難しいので、これくらいは変動するかもしれないという”心構え”をしておくことで資金不足に陥らないようにしたいです。
日米の税金
トリニティスタディでは税金は考慮されていません。
日本だと上場株式等の譲渡益については20.315%の申告分離課税がかかります(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)。
0.8掛けする必要があるので、引出率4%なら3.2%の手取り。引出し率5%なら4%の手取りということになります。単純ですが今後の計画に大きく影響するポイントです。
債券のバランス
論文では、株式と債券の割合を25%ずつ変え、計測していました。
私としてはこの割合が最も難しいところかと思います。
債券は株式に比べ巷にある情報が少なく、割合を決めるためのヒントが少ないです。分散効果も実感しづらく、他のポートフォリオとの違いを計算しづらいです。さらに個人で長期的なシミュレーションを行うには一定のスキルが必要となります。
論文の内容全体と通していえることですが、引出率同様、債券の割合についても状況に応じて変えていく臨機応変な対応が良いと私は考えています。終盤はリバランスも重要になってきそうです。
- 株価が好調時は引出率を上げ、不調時は引出率を下げる。
- 若年期は株式割合を多めにし、高齢期は債券割合を増やす。
- 長期に渡ってリバランスし、割合の変化には気を配る。
臨機応変な対応という意味ではこちらの本がオススメです。若いうちにお金を使うことで、人生を充実させる考え方のヒントがたくさん書かれてあります。私も常に手の届く場所に置いて読み返しています。
最後に
相場や世界情勢によって臨機応変に対応するために、追加調査がたくさん行われています。
トリニティスタディは”定額ルール”でしたが、”定率ルール”に関する研究についても調査し、追ってご報告したいと思います。

最後まで読んでくれてありがとう!
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はトリニティスタディの原文を日本語解説し、考察についてご紹介しました。
皆様のFIRE計画に少しでも有意義な貢献ができたら嬉しく思います。
私もFIREへやる気が湧いてきました。
今回は以上です。ではまた!

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