こんにちは。サメハダです。
トライオートETFが好調だとポジション増やしたい欲求が出てきますよね。
ポジションを増やす方法は、①レンジを細かくする方法と、②口数を増やす方法があります。
今回はこの2つを実際のデータを使って比較したいと思います。

レンジは細かい方が有利だと思うけどな~
結論
まずは結論です。本数を増やした方が有利な傾向がありますが・・・

内容を順を追ってご説明します。
はじめに:比較したいものはなにか
例えば、4本のトラップを敷いている状態を考えます。

儲かった!もっとやりたい!
ポジション量を8本に増やすとします。方法は大きく2パターンあります。
- パターン①・・・レンジを細かく刻む。
- パターン②・・・口数を増やす。

2つのパターンのどちらが有利か検証したいと思います。
別のバックテスト結果にヒント
同様の比較について、こちらのトラリピに関する書籍にヒントがありました。
「トラップ本数」は「通貨数」と合わせて「最大ポジション量」を調整するための項目であり、ポジション量が同じであれば本数によって変わる損益の差異はそれほど大きくならない。
『実践FXトラリピの教科書』本文126ページ「レンジは細かく刻むほうがいい?トラップ本数と利益金額を徹底解明!」より抜粋
書籍はFXに関する内容ですが、同じ自動売買取引に関する分析です。「通貨数」を「口数」に置き換えることで、トライオートETFでも応用できる理論になると思われます。
個人的には、トラップを細かく刻んだ方が分散が効き、収益が安定することで、長期的には少しだけ有利になると考えていました。
よって、私は口数を増やしたことがありませんでした。ポジションを増やしたいときは毎回本数を増やし、細かく敷き詰めていました。
しかし今回の試算結果を受けてこの考えが少し変わりました。
検証方法
使用したツール
トライオートETFの取引画面にて提供されているビルダー機能を使いました。

レンジを細かく刻む場合は、”レンジ幅(ドル)”と”本数”の設定を変更します。口数を増やす場合は、”数量(口)”を変更します。
比較対象と方法
他の条件を全て同じにして比較します。概要は次の通りです。
●対象・・・シミュレーション結果の「期間損益」を比較します。(同じリスク下での比較となるよう”発注に必要な証拠金”を揃えます。)

●銘柄・・・ナスダック100トリプル(以下、TQQQと表記します。)
●利確幅・・・3㌦、4㌦、5㌦の3通り。
●レンジ・・・広いレンジ(60㌦~120㌦の60㌦幅)と狭いレンジ(90㌦~110㌦の20㌦幅)の2通り。
●試算のパターン・・・3つの利確幅×2つのレンジ=6通りの試算。
●集計期間・・・2019年1月~(当初の価格は60㌦より下なので利益は2020年7月頃から発生し始めます)。
検証結果
最初の試算は順を追って解説します。
広いレンジ、利確幅4㌦の場合
広いレンジ(60㌦~120㌦)かつ利確幅4㌦の場合を考えます。
前提として、利確幅が4㌦なので60㌦のレンジに隙間なくトラップをしかけるには、最低でも15本のトラップが必要です。(トラップに隙間がある仕掛けは通常あり得ないので15本以下はここでは考えません。)


よし!ポジションを4倍にしよう!
このとき、ポジションを4倍にする方法を考えます。先ほど紹介したように、まず一つは、口数を4倍にする方法です。そして、もう一つはトラップ数を刻む方法です。このとき証拠金(リスク)が同等になるトラップ数の刻み方は3通りあります。したがって合計4通りの仕掛けが考えられます。
レンジ幅60㌦において、
- 15本のトラップ(4㌦毎)を4口
- 20本のトラップ(3㌦毎)を3口
- 30本のトラップ(2㌦毎)を2口
- 60本のトラップ(1㌦毎)を1口
これらのシミュレーション結果の期間損益と、もともとのポジション(15本のトラップ1口)を単純に4倍した利益を比較します。
比較した結果が下記です。

表の左側がビルダーによるシミュレーション結果で、右側の青いゾーンが計算結果です。
発注に必要な証拠金の差額は0であり、リスクは同等であることがわかります。一方、期間損益は単純に4倍したものより高くなっていることがわかります。
さらに、期間損益の差をグラフにします。

全体に右肩上がりであり、本数を増やした方が口数を増やすより損益が増加することがわかります。
しかし、30本2口は20本3口より、増加額が鈍化します。必ずしも本数を増やすことが高い利回りに繋がるわけではないことがわかりました。
- 口数を増やすよりも、レンジを刻んで本数を増やす方が利回りが高い傾向がある。
- 必ずしも本数が多ければ利回りが高くなるわけではなく、序列が逆転する場合もある。
なお、グラフ一番左の「口数を4倍にした場合」の差額は+114円となっています。理論上には差額は発生しないと考えられるのですが、シミュレーションの仕様のためか差額が少し発生しています。ただ、少額なので許容範囲かと思います。
さて、同じレンジで利確幅を変えた場合のシミュレーション結果もご紹介します。
広いレンジ、利確幅5㌦の場合
利確幅を1㌦広げて5㌦とした場合です。


利確幅5㌦においても右肩上がりのグラフです。4㌦幅と同様に序列の逆転が見られます。
広いレンジ、利確幅3㌦の場合
今度は、利確幅を1㌦狭めて3㌦とした場合です。


同じように、本数を増やした方が有利な結果となりました。ここでも逆転がありました。
狭いレンジ、利確幅4㌦の場合
広いレンジではトラップの幅が1㌦~5㌦とかなり広めの設定でした。
実際の運用では、もっとトラップの幅を狭めて攻めた投資を行っている人もいると思います。
そこで、トラップの幅を0.25㌦~1㌦と狭くした場合も確認します。シミュレーションは一度に100本までしか計算できないので、レンジは90㌦~110㌦の20㌦の幅で計算しました。利確幅は同じ設定(3㌦、4㌦、5㌦)です。

まずは、4㌦幅の結果です。


はい。狭いレンジでも、グラフは右肩上がりです。レンジを刻み本数を増やした方が有利となりました。逆転も起こらずきれいな結果です。
狭いレンジ、利確幅5㌦の場合


5㌦幅も同様の特徴を示しています。4㌦幅より期間損益そのものは減少するようです。
狭いレンジ、利確幅3㌦の場合


問題は3㌦幅です。なんと、25本4口が3,260円のマイナスとなりました。これは1㌦ごとのトラップ(20本5口)の方が、0.8㌦ごとのトラップ(25本4口)よりも利回りが良かったことを表しています。
一瞬驚きますが、結局両隣と序列が逆転する以上、ベースの水準によってはマイナスもあり得るわけで特別な特徴を表しているわけではないと思います。全体的に右肩上がりなので、やはり本数を増やしてレンジを刻む方が有利だと推察できます。
考察
シミュレーション結果
結果について考察したいと思います。

試算前、私はトラップの幅は狭ければ狭いほど良いと考えていました。冒頭でご紹介したトラリピ本の内容も懐疑的でした。
しかし、今回実際にシミュレーションしてみたところ、全体的にその傾向はあるものの、必ずしもどこまでも細かく刻む必要はないということがわかりました。
現時点でのTQQQのスプレッドが0.76㌦と1㌦以下であること。また、1日の値動きが中央値ベースで3~5㌦程度(サメハダ調べ)であることを勘案すれば、個人的にトラップ幅は1㌦幅~0.5㌦幅で十分ではないかと考えます。せいぜい0.25㌦幅くらいかと。それより増やしたい場合は口数で調整する選択肢もありかと思います。

- 同じ証拠金なら、口数を増やすより、レンジを細かく刻んでトラップ数を増やした方が利回りが高くなる傾向がある。
- ただし、絶対的なものではなく序列が逆転する場合もある。
- トラップ数を増やすことで利益確定のタイミングが分散され、収益が安定する効果は期待できる。
- 1㌦~0.5㌦、せいぜい0.25㌦程度のトラップ幅で十分ではないか。
- 口数を増加させる方が発注の手間が少ないため、利用する価値は十分ある。
結果を受けてこれからのトラップ幅戦略
2021年8月以降のTQQQ新規発注停止が予定されていることは皆さんご存じのはずです。
上記ポイントの最後、「発注の手間」は8月以降に向け、ダミー取引を予め用意する作業に応用できそうです。つまり、あらかじめ発注しておくダミー取引のレンジをあまり細かくせずに、例えば1㌦や0.5㌦幅で行なえば、今後のポジションの管理がグンと楽になると思います。
今後、新たにどのような規制が追加されるか、またどのようなシステムアップデートが実施されるか未知ではあります。利回りにそれほど影響が出ないなら、口数だけの調整を選択肢として持っておき、様々な取引状況の変化に身軽に対処するというのも有意義だと思います。
余談ですが認定ビルダーの鈴さんが口数15で設定しているようです。やはり口数は有効なのかもしれませんね。
わたしは15セットで1,500万円運用しています。
鈴さんのブログより
- 2021年8月以降のTQQQ新規発注停止に備えてダミー注文を量産すると、ユーザー側の取引管理が煩雑になる恐れがある。
- 口数での増額も十分な効果がある。選択肢として持ち、発注画面と頭の整理に活用する。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、口数を増やした場合とレンジを細かく刻んだ場合における、利回りの違いについてビルダーを用いてシミュレーションし、今後の戦略の考察しました。
個人的には口数調整が効果的だったことを知り、大変満足です。
今後もいろいろと分析したいと思います。
今回は以上です。ではまた!

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