こんにちは。サメハダです。
トライオートETFで、ロスカットのない証拠金をストレステストで検証した結果を、全三回のシリーズでご説明しています。
今回が最後の回です。ストレス・ロスカットゼロ証拠金(SMM:Stressed Maximum Margin)でカバーするリスクへの対応について、考察していきたいと思います。

シリーズを通して、安心・安全を追求した証拠金はいくらか?という疑問の解消に取り組みました!

課題の確認と結論
何が課題か:ロスカットが起こる場合を確認
わたしは、想定ロスカットレートがゼロになるようにトライオートETFを運用しています。つまりMM(Maximum Margin)を積んでいます。この状態だと、徐々に相場が下落した場合、たとえ基準価格が0円になってもロスカットされずに堪えることができます。
一方、徐々に下落するのではなく、一気に下落した場合、MMでは足りずにロスカットされてしまうケースが考えられます。極まれなこのケースでも耐えられる証拠金額がSMM(Stressed Maximum Margin)です。
より安全な運用を目指すなら、MMでなくSMMを積むべきでしょうか。


どのように対応するか:SMM証拠金に対する結論
わたしの考えとしては、SMMを積むべきかついてはNoです。
- SMM証拠金を積む必要はないと考える。
理由は、単純に発生確率は天文学的に低いからです。
- SMM証拠金が必要となる可能性は、ほぼゼロと考えられるから。
これまで、急落によるロスカットが発生するリスクについて、把握→評価と進めてきましたが、対応としては、リスクを許容するという結論となりました。
- 発生確率はほぼゼロのため、許容する。

一気に価格が0円になるなんてまずありえんからの!そりゃそうか!
証拠金をめぐるジレンマ
ここまで、証拠金のストレステストに関して、ひとつの結論を得ることができました。
しかしながら、一筋縄ではいかないのが証拠金というものです。
それは、証拠金を積むことによる安全性の向上と、仕掛けを増やすことによる資金効率の向上がトレードオフの関係にあるからです。
- 証拠金を増やすと、安全性が高まるが、資金効率は低下する。
- 証拠金を減らす(仕掛けを増やす)と、安全性は低下するが、資金効率は高まる。

わたしも証拠金には散々悩まされています。証拠金を増やすか、減らしてロスカットレートを上げるか、どちらも意見も考えられるます。
わたしの頭の中で起きている葛藤を、それぞれ1つずつご紹介したいと思います。
悪魔のささやき:証拠金を減らしてロスカットレートを上げる

証拠金を減らせ!価格が0円になるわけないだろ!もっと仕掛けを増やせばもっと儲かるぞ!
SMMを積まないことにした理由は発生確率が低いからです。このように発生確率を根拠にすると、SMMのみならずMMを積むことも同じよう否定されてしまいます。なぜならば、価格が0円になることそのものがそもそも天文学的に小さな確率だからです。
そうなると、ロスカットレートを上げることが合理的な判断となります。おそらくリスク許容度の高い人にとってはそれが適した投資スタイルだと思います。実際その方がレバレッジを掛けたCFD取引のメリットも活かすことができます。
- 確率に基づくとロスカットレートを上げることが合理的
想定ロスカットレートを上げるかどうかの判断は非常に高度です。証拠金のテーマで扱うより、仕掛け(レンジ、本数、口数)の戦略からアプローチする必要と考えます。

今回は証拠金のストレステストというテーマなので、MMを積む前提にたった上で、SMMまでは必要ないという考察に留めたいと思います。

想定ロスカットレートはリスク許容度によって左右されるからのぉ。ここは、また別の機会に考察するで~。
天使のささやき:理論上最大の証拠金(SMM)を積めば絶対にロスカットされない

証拠金を増やしてね!SMMを積めば絶対にロスカットされないよ!枕を高くして眠れるよ!
リスク管理の世界でよくある例として、テール・リスクがあります。「テール」とは分布の端という意味で、「テールリスク」は確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な「暴騰・暴落」をもたらすリスクのことをいいます。
- テールとは、分布の端という意味。
- テール・リスクは、確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスクのこと。
例えば、津波というリスクに対して、堤防を作ることを考えます。
このとき、極めて低確率ではあるものの、想定される津波の高さは、理論上どこまでも高くなります。つまり無限です。堤防を作る際に費用は高さに応じて高くなりますが、無限の費用は掛けられないため、どこかで割り切って高さを決めます。このとき割り切って決めた堤防の高さを超える津波が発生する確率はゼロではないため、絶対に安心・安全とは言い切れません。

- 津波の場合、建築した堤防を越える津波が発生する確率が僅かながらあり得る。
- 絶対に安心・安全とは言えないため、不安は残る。
一方、トライオートETFはテールリスクが有限です。必要な証拠金も計算でき、SMMはMMの1.3倍程度でした。1.3倍程度で無限の安心が手に入ることはメリットです。
100%リスクを回避できるって結構凄いことなんですよ!
リスク許容度は人それぞれであり、SMMを積む選択は十分妥当だと考えられます。

- 買いポジションの場合、SMMを積むことでロスカットが発生する確率をなくせる。
- 枕を高くして眠れる。

実際に急落が起きたら、通常の精神状態ではいられないからね。安心はとても大切だよねっ
筆者の今後の証拠金の運営
MM以上SMM以下の水準を確保しておく
これまでMMを積んできたわたしですが、今後、相場が安定しているときは、MM以上SMM以下の水準を維持しようと思っています。正直、私も価格が0円になるとは思っていませんが、下落時に買い増しするための資金を予め入金しておくというイメージです。
また、前回も少し触れましたが、相場とは別に、システム障害のリスクがあると思っているため、より安全な運用を選択したいと考えています。
大切にしたい”守破離”という考え方
一方で、想定ロスカットレートを上げても良いと考えています。
レバレッジETFはハイリスク商品であるため、短期で運用するのがセオリーです。ポジションが少ないといっても超長期で運用することには機会損失など一定のリスクがあると考えられます。
ただ、実際にロスカットレートを上げる前に、全三回のシリーズを通して証拠金のストレステストについて研究しておき、守りを固めておきたかったというわけです。

総括
リスクの対応について簡単にまとめます。
- ロスカットの発生しない証拠金についてストレステストを実施。SMMを定義し、発生確率の計算を行った。
- SMMレベルの急落が発生する確率は低いと考えられるため、まずはMMレベルの証拠金で十分と考えた。
- 一方で、想定ロスカットレートを上げることに合理性があることも確認した。
- 妥当な想定ロスカットレートの水準に関する検討はかなり高度。今回の証拠金のテーマでなく、仕掛け戦略(レンジ・本数・口数)のテーマで考察する。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
全3回に渡り、証拠金のストレステストに関するリスク分析を行いました。
投資の世界には、極端な楽観論者と悲観論者が溢れています。私たちはその中で、ロジカルシンキングを競っているわけでもなければ、チキンレースに参加しているわけでもありません。
他人と比べることなどせず、自分がどう感じるかが肝心です。SMMか、MMか、その中間か。ご自身のリスク許容度に応じて決めることが大切だと思います。
今回は以上です。ではまた。

最後まで読んでくださり、有難うございます!
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