S&P500ダブルSSO/1dayボラから利確幅を決める【トライオートETF】

こんにちは。サメハダです。

8月に入り、株も為替も値動きが少なくなり「夏枯れ」の様相を呈していますね。

自動売買としては、値動きが少ないのは痛手ですが、「休むも相場」なので落ち着いて対応したいところです。

さて今回も、S&P500ダブル(SSO)の利確幅がテーマです。

ヒストリカルの1~4daysボラティリティを計算し、利確幅の設定を考えたいと思います。

かめ君
かめ君

TQQQでも計算した1dayボラだね!

結論

例によって最初に結論からお伝えします。1dayの価格変化率は次のようになりました。

内容をご説明します。

前回の振り返り

バックテストの結果

前回の試算では、SSOの利確幅を1㌦~30㌦で変えた場合の収益率について、公式のビルダーを使ったバックテストを行いました。結果は、利確幅が大きいほど利益率が高いということでしたね。

きれいな右肩あがりのグラフ。利確幅(横軸)が増えるほど、期間損益(縦軸)が大きくなることがわかりました。

この傾向は、TQQQにおいても同様です。

同じく、利確幅(横軸)が増えるほど、期間損益(縦軸)が大きくなります。

利確幅をどのように決めるか

利確幅を「最大のリターン」で決めてしまうと、過去データに基づくと、利確幅はどこまでも大きくなってしまうというジレンマがありました。

これは、ここ最近の相場が強い上昇の動きをしていたことが理由です。

しかし今後もそのような相場が続くとは限りません。

そもそも、自動売買の特徴は、横ばいや下落局面でも自動で利益確定を狙えることだと思いますし、メンタル面でも定期的な確定利益を得ていることで安心感を得られる、ということだと考えています。

そこで、過去の1日ボラに基づき、最低でも何日に一回は利益確定するという状態をターゲットに利確幅を決めてみたいと思います。

コンセプト~利確幅の決め方~
  • 過去データに基づくと、最大リターンを見込める利確幅は30㌦以上と大きすぎる。
  • 最大リターンではなく、利確の頻度に着目して利確幅を決める。

このコンセプトは以前TQQQで行なった試算と同じです。

タコさん
タコさん

毎日、ジャンジャン利確お願いしゃ~す!

ヒストリカルボラの試算

いよいよ本題に入りましょう。今回の試算に関する概要からご説明します。

試算の概要

データ取得

直近10年(2011年1月3日~2021年7月31日)のSSOのヒストリカルデータを使用します。インベスティングドットコムさんの日次データを使わせていただきました。

サメハダ
サメハダ

Investing.comさん、いつもありがとうございます!

試算対象

直近10年における終値の日次変化率の分布を見ます。変化率のパターンは次の264通りです。

変化率算出のパターン
  • 集計対象は2011年~2021年。1年ごとに11通り
  • 変化期間は4通り(1日・2日・3日・4日間)
  • 分布については、平均と各パーセント点で6通り

全部で、11×4×6=264個の数値を算出しました。

変化率は絶対値を使用

変化率は対数差乖離率の絶対値をとりました。

変化率

$$変化率=|LN(Xt)-LV(Xt-1)|$$

$$Xt$$ はt時点の価格(終値)

$$X(t-n)$$ はt-n時点の価格(終値)※n=1~4

対数差乖離率は、株価などの時系列データの分析に良く使われる一般的な手法です。

また、絶対値をとることについても、下落と上昇のバランスが概ね一致していることを事前に確認し、問題ないと判断しました。

例として、絶対値をとる前の1dayの変化率がこちら。0%を境に+-がほぼ対象になっているので絶対値で考えても問題ないでしょう。
フグっち
フグっち

サメハダがシッカリ見たから、安心してね!

試算結果

こちらが試算結果です。

1day変化率

1day2011年2012年2013年20142015201620172018201920202021
平均2.1%1.2%1.1%1.0%1.4%1.1%0.6%1.5%1.1%2.6%1.2%
最大値13.8%5.7%5.0%4.8%8.7%7.3%3.6%9.3%6.7%26.6%5.0%
75%点2.8%1.7%1.4%1.5%2.1%1.6%0.8%2.0%1.5%2.9%1.8%
中央値1.4%0.8%0.8%0.8%1.0%0.7%0.4%1.1%0.8%1.5%0.9%
25%点0.6%0.3%0.4%0.3%0.5%0.3%0.2%0.4%0.3%0.7%0.4%
最低値0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%

2days変化率

2days2011年2012201320142015201620172018201920202021
平均3.0%1.8%1.4%1.5%2.1%1.5%0.9%2.2%1.7%3.2%1.7%
最大値14.3%7.1%8.2%8.8%15.1%11.1%3.7%12.9%8.1%31.6%6.2%
75%点4.1%2.8%2.1%2.1%2.8%2.1%1.2%3.0%2.4%4.1%2.6%
中央値2.2%1.4%1.2%1.1%1.6%1.0%0.7%1.6%1.4%2.0%1.3%
25%点1.1%0.7%0.4%0.6%0.7%0.5%0.3%0.8%0.6%0.8%0.4%
最低値0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%

3days変化率

3days2011年2012201320142015201620172018201920202021
平均3.6%2.2%1.8%1.9%2.4%2.0%1.0%2.7%2.0%4.2%2.0%
最大値24.1%8.6%7.7%9.7%19.3%10.4%3.5%13.2%9.9%31.0%8.1%
75%点5.0%3.3%2.6%2.6%3.3%2.6%1.5%3.4%2.8%5.1%2.8%
中央値2.6%1.9%1.6%1.4%1.8%1.4%0.8%2.1%1.7%2.5%1.6%
25%点1.4%0.8%0.7%0.7%0.9%0.6%0.3%1.0%0.8%1.5%0.8%
最低値0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%

4days変化率

4days2011年2012年201320142015201620172018201920202021
平均4.2%2.6%2.2%2.2%2.7%2.3%1.2%3.2%2.3%5.0%2.3%
最大値23.0%8.6%9.8%10.3%21.8%10.1%4.2%16.3%11.6%41.3%8.4%
75%点5.7%3.8%3.2%3.1%3.6%3.4%1.8%4.1%3.2%5.5%3.2%
中央値3.4%2.1%1.8%1.7%2.0%1.6%1.0%2.5%1.9%3.3%2.0%
25%点1.6%1.0%1.0%0.8%0.9%0.7%0.4%1.1%0.9%1.7%0.9%
最低値0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.1%0.0%
クマちゃん
クマちゃん

ちょっと数字が多くない?

サメハダ
サメハダ

そうだね。じゃあ、思い切って情報を絞って見ていきましょう!

変化率の情報をどう使うか

表は情報量が多いので、思い切って平均と中央値に情報を絞って見ることにしましょう。グラフにすると次の通りです。

江戸川まん太
江戸川まん太

初めからそうせい!未熟もんが~

平均と中央値をグラフで確認

なかなかわかりやすくなりました。

中央値を使って考える

平均と中央値はどちらもその分布を表す”代表”のような数値ですが、どちらを使うべきでしょうか。

個人的にはここのデータ分布は対称に近いためどちらでも大差ないと思っています。ただ頻度という意味では厳密には中央値の方が正しいと思うので、どちらかというと中央値をメインに見ていきたいと思います。

平均と中央値の違いをチェック
  • 平均値・・・全ての値を足した総和を個数で割ったもの。はずれ値(大きすぎる、小さすぎる)の影響を受けやすい。
  • 中央値・・・順番が中央に位置するデータの値。データが偶数の場合は、中央の2つの平均を使う。中央値より大きいデータとと小さいデータの数が同じ(50%ずつ)。

中央値がそのまま利確幅の答えとなる

この中央値を利確幅として使用するというのが私の案です。

例えば、2021年の中央値と平均はそれぞれ次の割合です。

2021年変化率の中央値変化率の平均値
1day0.9%1.2%
2days1.3%1.7%
3days1.6%2.0%
4days2.0%2.3%

この割合に基準価格を掛けると利確幅の金額が求まります。例えば、8/20時点の終値127.53㌦なので、利確幅の金額は次のとおりです。

2021年中央値ベースの利確幅平均値ベースの利確幅
1day1.2㌦1.5㌦
2days1.7㌦2.2㌦
3days2.1㌦2.6㌦
4days2.5㌦3.0㌦
変化率の使い方
  • 例えば、毎日利確を出したい場合は1dayを見ます。利確幅の金額は中央値ベースで1.2㌦、平均値ベースで1.5㌦です。
  • 2日に1回程度は利確が出てほしいと思ったら2daysを見ます。利確幅の金額は中央値ベースで1.7㌦、平均値ベースで2.2㌦です。
  • 以下、3日と4日も同様です。

変化率から導く利確幅は2㌦程度か

私は毎日とは言わないまでも、2日に一度程度は確定利益が出てほしいと考えています。

そこで、2daysの中央値を使うことにします。

従って、先ほどの表に基づいて利確幅は1.7㌦と決められました。

サメハダの作戦
  • 2日に一度程度の利益確定を目指し、2daysの中央値を使う。
  • 利確幅は1.3%、ドルベースでは、1.7㌦
  • キリよく、1㌦か2㌦としても良さそう。

年によっても変動があるので臨機応変な対応が求められますね。

皆さんは、どう考えますか?

コーヒーブレイク1~実際に運用してみた感想~

実際にSSOの運用を始めています。ただし1.7㌦の利確幅は感覚的に小さすぎる気がしたため、3㌦に設定しました。(ちょっと欲張りました。w)
1.7㌦だとスプレッド(現時点では0.48ドル)に対して低くなりすぎ、投資のうまみが減少すると考えたためです。

スプレッド対比の利確幅=1.7/0.48=3.5

なお、実際の成績はあまりよくありません。まだ短期間なのでなんとも言えないところですが。
凪の相場だと利確幅が小さい方が有利ですし、あまりスプレッドにこだわらなくても良いかもしれませんね。

せっかくなのでスプレッドについても見てみましょう。

補足情報:スプレッドの割合で比較してみる

補足①:TQQQと比較してどうか

気になるスプレッドについて確認します。8/21現在で、TQQQが0.82㌦、SSOが0.48㌦でした。

取引スプレッドを確認(8/21現在)
  • TQQQ・・・0.82㌦(価格135.80㌦)
  • SSO・・・0.48㌦(価格127.53㌦)

銘柄によって基準価格が異なるのため、スプレッド対比に利確幅を割合で表します。

TQQQ・直近価格135.80ドル・スプレッド0.82ドル
銘柄利確幅(例)スプレッド対比の利確幅割合
TQQQ2.5㌦3.0
TQQQ3.3㌦4.0
TQQQ4㌦4.9
TQQQ5.8㌦7.1
SSO・直近価格127.53ドル・スプレッド0.48ドル
銘柄利確幅(例)スプレッド対比の利確幅割合
SSO1㌦2.4
SSO1.7㌦4.0
SSO2㌦4.8
SSO3㌦7.1

例えば、SSOの利確幅1.7㌦のスプレッド対比の割合は4.0です。TQQQにおいて、これと同じ割合の利確幅を求めると3.3㌦です。3.3㌦ってTQQQの利確幅としてはかなり低いと感じてしまいますね。

コーヒーブレイク2~スプレッドを見ての感想~

表によると、私の設定したSSOの利確幅3㌦は、スプレッド対比の割合が7.1なので、これはTQQQに当てはめると、利確幅5.8㌦です。

TQQQの利確幅3㌦~6㌦はメジャーどころで、人気のある設定だと思うので、SSOの利確幅3㌦も悪くないと思ったのですが、まだイマイチ結果が出ていません。

TQQQは別格のパフォーマンスをたたき出していたので、感覚がマヒしているかもしれません。なにかをTQQQと比べることはあまり意味がないかも。

この辺は慣れもあると思うので、このままSSOの運用を続けていきながら試行錯誤したいと思います。

補足②:認定ビルダーの利確幅はどうか

気になるので、認定ビルダーの利確幅も見てみます。

SSOを採用している認定ビルダーさん現時点ではいないので、リスク・リターンの性質が似ているナスダック100(QQQ)を見てみます。

人気銘柄のリスク・リターンの比較はこちらの記事で解説しています。

直近価格は、367.73㌦、スプレッドは2.21㌦でした。

そして、QQQを採用している認定ビルダーさんは3人いらっしゃいます。

INVAST NAVIより

各認定ビルダーさんの利確幅をまとめると次のとおりです。

QQQ・直近価格367.73ドル・スプレッド2.21㌦
認定ビルダー利確幅スプレッド対比の利確幅割合
鈴さん2㌦、5㌦0.9、2.3
あっきんさん3㌦、4.5㌦1.4、2.0
サトウカズオさん5㌦2.3

皆さん、スプレッド対比に利確幅割合は0.9~2.3とかなり低いです。

コーヒーブレイク3~認定ビルダーさんの利確幅を見ての感想~

利確幅を小さくすると、利益に対してスプレッドの割合が大きくなり、投資の効果が減少すると考えています。

しかし、利確幅を大きくすると利確の機会を損失し、短期的にみたトータルリターンが少なくなる可能性もあります。もう少しだけ利確幅を小さくしたり、複数の利確幅を設定してみるなど、投資方針に応じてアレンジができそうです。

認定ビルダーさんのロジックは、やはり貴重な材料として参考にさせていただきます!

補足③:5日以上はどうするのか

最後にちょっとしたテクニックのご紹介です。

今回は1~4日間の変化率を算出しましたが、5日以上の数値はありません。5日以上の数値が欲しい場合はどうすれば良いでしょうか。

実は理論値を次のように期間の平方根を使って簡易的計算する方法があります。

“ルートT倍法”による簡易的に変化率を求める
  • 期間Tのボラティリティは期間1のルートT倍に比例する。
  • 例えば、5日の変化率がほしい場合、5days変化率=1day変化率×√5

これは統計学における標準偏差の性質を使った公式です。金融工学では、一般的にルートT倍法と言われています。

一応、1~4日で検算した結果がこちらです。2021年においてはほとんど差分も少なく、なかなか良い精度が得られていることがわかります。

【2021年:中央値1day2days3days4days
ヒストリカルデータ0.9%1.3%1.6%2.0%
ルートT倍法1.3%1.6%1.9%
差分0.0%0.0%-0.1%
【2021年:平均値1day2days3days4days
ヒストリカルデータ1.2%1.7%2.0%2.3%
ルートT倍法1.7%2.1%2.4%
差分0.0%0.1%0.1%

厳密には、標準偏差に対して使用できる公式ですが、今回の変化率にも十分使用できそうです。

フグっち
フグっち

ふ~ん。ぼくにも計算できるかな?

総括

簡単に今回の内容をまとめます。

  • 1day~4daysの変化率をそのまま基準価格に掛けることで、利益確定の希望頻度に応じた利確幅を算出できる。
  • 5daysより大きな変化率もルートT倍法で計算できる。
  • 利確幅と小さくすると頻度は上がるが、スプレッドの比率が上がり、相対的に手数料割合があがってしまうが、気にしすぎるのも良くない。最も重要なのはリターン。
  • ただし、最大のリターンを見込めるのは過去実績では30㌦以上と大きくなる。
  • バランス感覚を以って、利確幅を小まめに調整したり、複数用意するなどの対策が考えられる。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は、直近10年の1~4日間の変化率を算出し、利益確定の頻度に応じた利確幅を決定する方法についてご紹介しました。

個人的には、2日1回の利確を目指した”利確幅1.7㌦”は良い線いっていると感じています。

これまでSSOの記事をいくつか書いていますが、レンジや証拠金などロジック作成のための各パラメータが情報が出そろった感じです。

近いうちに各情報をまとめて、これからSSO投資を始める人に向けて情報提供の記事も作成したいと思います。

今回は以上です。ではまた!

かめ君
かめ君

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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