【貯蓄率表の検証】リタイアまでの年数を貯蓄率で決めて大丈夫なの?

こんにちは。サメハダです。

「あと○年でFIREできるかも」と想像するのってとてもワクワクしますよね。

FIREまでの年数を知る上で、クリスティー・シェン著『FIRE 最強の早期リタイア術』で登場する、こちらの表が有名です。ご存じの方も多いのではないでしょうか。

【FIRE】早期リタイアを目指すなら「年収」よりも「貯蓄率」を重視すべき理由
DIAMONDonlineより抜粋『FIRE最強の早期リタイヤ術』

こちらの表(以下A表と呼びます)は確かに便利です。

しかし皆さん「お宅の貯蓄率はいくらですか?」と聞かれてしっかり答えられますか?

私はリタイアまでの年数に対して貯蓄率という判断軸は少し分かりにくいと感じました。

そこで”貯蓄率”を使用せずに金額(生活費、貯蓄額)を判断軸に変更して表をアップデートしました。現在の資産額も計算に含めているので、より実態に則した結果が得られると思います。

今回はアップデートした表(以下B表と呼びます)をご紹介したいと思います。

かめ君
かめ君

有名な貯蓄率の表をアレンジしたんだね!

結論

まずは結論です。こちらが作成したB表です。順を追ってご説明します。

オリジナルの貯蓄率の表(A表)

A表はそもそも何の表か

A表は、全米で話題となったFIRE指南本である『FIRE最強の早期リタイア術』(クリスティー・シェン&ブライス・リャン夫妻)の中で記載されている情報です。私ももちろん持っています!

【FIRE】早期リタイアを目指すなら「年収」よりも「貯蓄率」を重視すべき理由
DIAMONDonlineより抜粋『FIRE最強の早期リタイヤ術』

リタイアまでの年数は年収ではなく”貯蓄率”で決まるということを述べています。

A表の特徴

A表について著者が述べている内容を要約すると次のようになります。

要約
  • 4%ルールを基準に作成。(書籍p.171)
  • 貯蓄額がゼロから始めたと仮定。(書籍p.171)
  • 年収は関係なく、大事なのは貯蓄率。(書籍p.171)
  • 純資産ゼロでも明日から収入の6~7割を貯蓄に回せば、約10年後にはリタイヤできる。(書籍p.172)
  • 貯蓄率と比較すると投資リターンはそれほど大きな影響はない。(書籍p.172)

個人的に計算の過程や結果については正しいと思いますし、もともと非難する気持ちはございません。

しかし、いざこの表を使おうとすると、いくつか弊害が出てくると感じました。

A表を活用する際にネックとなること

A表を実際に活用しようとすると大きく次の2つの問題が発生することがわかりました。

①現在の貯蓄額がゼロではない

A表では、現在の貯蓄額がゼロであると仮定しています。しかし、既にいくらか蓄えがある状態からFIREを目指す人もいると思います。私自身も今の蓄えも勘案した上で何年後にFIREできるのか知りたいと感じました。

②生活費が固定されている

A表では、生活費が今の水準で固定されています。これは書籍内でも明確に記載されていないため、書籍を読んでも良くわからないところです。しかし今回、別途エクセルで同じ表を再現して検算を行っているため、正しい理解だと自負しています。(後述します。)

つまり、A表では貯蓄率の残りが生活費だと仮定した上で計算されています。例えば、収入が800万円で貯蓄率が40%の320万円だとすると、残りの480万円を生活費として計算しています。しかも生活費480万円は固定でそれから先もずっと同じ水準の生活をする想定です。

生活費は貯蓄率から逆算されている
  • 収入-生活費=貯蓄額
  • 貯蓄額/収入=貯蓄率
  • 生活費率=生活費/収入=1-貯蓄率

私の場合、今はそれなりに生活費が高いですがそれは働いて給与収入があるからであって、FIRE後は倹約して今よりも少ない生活費で暮らすつもりです。

またFIRE界隈で人気の『DIE WITH ZERO』という書籍の中でも、「老後生活で必要な金は一律ではなく、序盤は多く、終盤になるほど少なくなる傾向がある」と述べています(書籍p.234)。

A表に一言モノ申す

「FIREのために重要なのは貯蓄率だ!」というメッセージはインパクトがあります。

しかし、このグラフだと「なるほど貯蓄率が重要なんだ」ということはなんとなくわかっても、肝心のリタイヤまでの年数は良くわからないのではないでしょうか。

さらに、現実では生活費貯蓄額について、それぞれ金額ベースで把握している家庭が多いと思います。よってFIRE後の生活費についても金額を指定できた方が私としてはありがたいです。

まん太
まん太

なんだかんだ不満があったんだね!

アレンジした貯蓄率の表(B表)

B表がこちらです。(再掲)

B表の変更点と特徴

スタート時点の資産額・貯蓄額・FIRE後の生活費をすべて金額指定できるようにしました。

B表の使い方と計算例

倍率を使って求める仕様です。使い方をご説明します。

使い方

①目標金額を決めます。4%ルールを想定する場合は、FIRE後の年間生活費×25とします。さらに既に貯蓄がある場合はその分を減額します。

②年間の貯蓄額を決めます。こちらはFIREまでの見込み額です。

③倍率(①÷②)を求めます。

④投資リターン(表の横軸)を決めます。プロットの縦軸がリタイアまでの年数です。

具体的に計算してみます。

具体例
Aさん:FIREを目指す民
Aさん:FIREを目指す民

現在は高収入で生活費も高め。でもFIRE後は倹約する予定だよ。

  • 収入(手取り):1,000万円
  • 年間貯蓄額:400万円(つまり貯蓄率40%)
  • 現在の生活費:600万円
  • FIRE後の生活費:300万円(想定)
  • 現在の資産額:1,500万円

①4%ルールを採用し、目標額は300万円×25-1,500万円=6,000万円(注①,②)

②年間の貯蓄額は変わらず400万円を想定

③倍率は6,000万円/400万円=15倍

④投資リターンを年利5%とすると、リタイアまでの年数は11.5年とわかる。

※注①:現在の資産1,500万円は運用しない想定です。もしもこの資産も運用した場合はさらに年数が短縮されます。

※注②:4%ルールを想定する場合は25を掛けますが、税引き後の3.2%を想定する場合は1/0.032=31.25、5%を想定する場合は1/0.05=20を掛けます。

フグっち
フグっち

リタイアまでの年数がわかったね!

<参考>A表の再現

B表を作成する前にA表の再現を行いました。投資リターン0%のラインと投資リターンが高い人向けに11%~15%のラインを追加しています。

サメハダ
サメハダ

計算方法については機会があれば別途カテゴリでご紹介したいと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、有名な貯蓄率の表をアップデートしてみました。

現在の資産額・年間の貯蓄額・将来の生活費についてより割合でなく金額ベースで考えることで、より実践的な試算が可能になったかと思います。

FIREを目指す方々にとって少しでも有益な情報になれば嬉しく思います。

わからないことがあれば問い合わせかツイッターアカウントからご連絡ください。

今回は以上です!ではまた!

タコさん
タコさん

最後まで読んでくれてありがとうございます!

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