こんにちはサメハダです。
初めて会社からお給料をもらった日のことを覚えていますか?
私はもう何年も前になりますがとても感慨深い気持ちでしたし、当時の給与明細を記念に保管しています。
多くの方がお金の知識がほとんどない状態で社会に出るので、「額面」「手取り」「社会保険料」などの単語から少しずつ覚えていくことと思います。
私も最初、恥ずかしながら所得税と住民税の区別がついていないレベルでした。
さらに、新人の頃先輩から2年目は手取りが減るから気を付けてと言われ、理由もわからず不安を感じていたことを思い出します。
2年目は減るとして3年目はどうなるのだろう。「手取りが減る」というパワーワードにかなりの恐怖を抱いていました。
さて、多くの新卒社会人にとっても2年目からは住民税が発生するため手取りが減ることと思います。
大体どの程度手取りが減るのか、そもそも住民税の基本的な仕組みについて、年収がわかればざっくりと計算できます。
今回は住民税の基本的な仕組みとざっくりとした計算方法、そしてすぐにできる節税対策をご紹介します。
転居など住民票が異動する際にも同じ考え方となります。すでにご存じの方も再度確認してみてくださいね。
住民税とは
住民税は”稼ぎ”に応じて決まる
住民税は稼いだ金額に対して課税される税金です。これを専門用語で”所得課税”といいます。
代表的な”所得課税”の例として、”所得税”と”住民税”があります。これらは税の二大巨頭ですね。違いは次の表のとおりです。

税金 | 主体 | 課税される対象(客体) |
---|---|---|
所得税 | 国税 | その年の所得金額 |
住民税 | 地方税 | 前の年の所得金額 |
所得税はその年の所得金額に応じて決まりますが、住民税は前の年の所得金額で決まります。
1年ずれるというのがポイントです。時間差があります。
住民税が課税されるのは1年後。
したがって、今年稼いだお給料の住民税は来年払うことになります。
新卒社会人の人にとっては、1年目は所得税の支払いのみでしたが、2年目は所得税に加えて住民税も支払う必要があるため、その分手取りが減ってしますというカラクリです。

住民税はいつわかるか
住民税はその年の1月1日に住民票がある自治体によって課税されます。
毎年6月頃に自治体から”納税通知書”と”納付書”がセットで届きます。
納付期限は年4回あり、6月、8月、10月、翌年1月に分けて納付します。もちろんまとめて支払うこともできます。
税率は課税標準額の約10%のところがほとんどです。
なお、住民税は都道府県税と市町村税が合算されたものですが、2つとも同時に課税されて処理されるため、分けて考える必要な基本的にありません。
住民税が安い街は
あの町は住民税が高いとか安いという噂を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
しかしながら、実は住民税は日本全国ほぼ同額です。
だいたいでですが、所得割が10%、均等割が5,000円となっています。
種類 | 所得割 | 均等割 |
---|---|---|
都道府県民税 | 課税標準額×4% (一部4.03%) | 1,500円 (一部~2,700円) |
市町村民税 | 課税標準額×6% (一部5.7%、6.1%) | 3,500円 (一部~4,400円) |

トヨタのある愛知県豊田市など税収が潤沢な都市は住民税が安いというのは都市伝説のようです。
確かに国保の計算は地域差があるようなのでこのような噂が立ったと思われます。サラリーマンにはあまり関係ないですね。
住民税はどこで払うか
支払い方法は”普通徴収”と”特別徴収”の2種類あります。
支払い方法 | 内容 |
---|---|
普通徴収 | 郵送された納付書を使って本人が支払います。 役所窓口・コンビニ・クレジットカードなど各種支払いが可能です。 |
特別徴収 | 会社の給与から毎月天引きしてもらい会社が支払います。 納付書は会社に郵送され本人は特になにもしません。 |
新入社員の場合、役所に「特別徴収切替届出依頼書」を提出するよう会社から促されることが多いようです。
住民税の計算方法
住民税の計算は人によって様々なので、今回は新入社員を想定した場合を具体的に計算してみよう。
なお、自治体によってはシミュレーションツールをネット上に公開しています。後半でご紹介するので正確に計算したい場合はぜひ活用してみてね。
住民税計算の大枠
① 給与等の収入金額-給与所得控除=給与所得
② 給与所得-各種所得控除=課税所得金額
③ 課税所得金額×税率(10%)=所得割
④ 所得割-調整控除-税額控除=差引き所得割
⑤ 差引き所得割+均等割(5,000円)=住民税
ここでは年収300万円の独身男性Aさんを例にとって計算してみます。

給与収入
給与収入はAさんの年収である300万円です。
給与収入・・・3,000,000円
給与所得控除
給与所得控除は次の表に基づいて決まります。
給与等の収⼊金額(A) | 給与所得控除額(令和3年度) |
---|---|
162万5千円以下 | 55万円 |
162万5千円超180万円以下 | (A)×40%-10万円 |
180万円超360万円以下 | (A)×30%+8万円 |
360万円超660万円以下 | (A)×20%+44万円 |
660万円超850万円以下 | (A)×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |

一見複雑に見えますが収入金額が増えるにしたがって給与所得控除額も増える関数式となっています。Aさんの年収を表に当てはめて計算します。
給与所得控除・・・3,000,000円 × 30% + 80,000円 = 980,000円
各種所得控除
各種所得控除は基本的な人的控除である基礎控除と社会保険料控除が該当します。
控除名 | 控除額 |
---|---|
基礎控除 | 33万円 |
配偶者控除 | ~33万円 |
生命保険料控除(新) | ~2万8千円 |
社会保険控除料控除 | 標準報酬月額による |
・・・ | ・・・ |
Aさんは独身なので人的控除は基礎控除の33万円となります。
社会保険料控除は標準報酬月額という4月~6月の給与に基づいて決まります。これも表に当てはめて計算しますがここでは割愛して約43万円とします。
各種所得控除・・・330,000円 + 430,000円 = 760,000円
配偶者を扶養している場合や生命保険に加入している場合もそれぞれ控除ができます。ほかにも種類があるので詳細自治体のHP等でご確認ください。
調整控除
次は調整控除です。極めて分かりにくい部分ですが、所得税との人的控除の差を調整するための控除項目です。メジャーなものは次の表のとおりです。
人的控除の種類 | 所得税 | 住民税 | 差額 |
---|---|---|---|
基礎控除 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
配偶者控除(一般) | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
計算方法は次のとおりです。
合計課税所得金額が200万円以下の人・・・(1)と(2)のいずれか少ない金額の5%
(1)人的控除額の差額の合計金額
(2)合計課税所得金額
合計課税所得金額が200万円を超える人
(3){人的控除額の差額の合計金額 - ( 合計課税所得金額 - 200万円 )} × 5%
Aさんの場合は(1)に該当します。
合計課税所得金額・・・3,000,000円 - 980,000円 - 760,000円 = 1,260,000円
調整控除・・・50,000円 × 5% = 2,500円
税額控除
住宅ローンや寄付などがあればそれらを控除することができます。
今回の例では該当する項目はありません。
ただし、実はこの税額控除を使って節税する仕組みがふるさと納税です。
オススメのふるさと納税については後日ご紹介したいと思います。

オススメのふるさと納税を見てみよう!
Coming soon・・・
具体的な計算
上記をまとめると次のように税額が計算できます。
① 給与等の収入金額-給与所得控除=給与所得
3,000,000円 - 980,000円 = 2,020,000円
② 給与所得-各種所得控除=課税所得金額
2,020,000円 - 760,000円 = 1,260,000円
③ 課税所得金額×税率(10%)=所得割
1,260,000円 × 10% = 126,000円
④ 所得割-調整控除-税額控除=差引き所得割
126,000円 - 2,500円 = 123,500円
⑤ 差引き所得割+均等割(5,000円)=住民税
123,000円 + 5,000円 = 128,000円
はい、このように住民税の年額が12万8千円と計算できました。一月当たり10,667円となります。
つまりAさんは2年目の手取りは約1万円減ってしまうので心の準備をしておいた方が良いですね。
年収300万円のAさんの住民税は年間12万8千円(月額10,667円)の分手取りが減る。

計算たいへんだった!
住民税のシミュレーションを自治体のサイトで行う
自治体によっては、源泉徴収票に基づく住民税をインターネットで試算できます。これまで説明してきたように自治体によって税額に差はほとんどないので、自分の住む街ではなくても使ってみて損はないと思います。

住民税の節税対策
住民税の税率は全国ほぼ一律で変わりがないことは先ほどご説明しました。
そのため、住民税を節税するためにはできるだけ控除増やし、課税所得を減らすことになります。
所得控除を増やす
課税所得を減らすための所得控除をまとめました。
控除の種類 | 内容 |
---|---|
医療費控除 | 医療費のうち10万円を超えた金額(総所得金額が200まんえん未満の場合は総所得金額の5%)が控除されます。セルフメディケーション税制を利用した場合は、対象となるスイッチOTC医薬品1万2,000円を控除できます。 |
配偶者控除・配偶者特別控除 | 配偶者の所得に応じて、1万円~33万円の控除が受けられます。 |
扶養控除 | 扶養家族がいる場合、年齢や続柄、同居の有無などに応じて33万円か45万円の控除が受けられます。 |
社会保険料控除 | 公的年金や健康保険料などの社会保険料は全額控除が受けられます。 |
生命保険料控除 | 生命保険料を支払った場合、最高で3万5,000円が控除できます。 |
地震保険料控除 | 地震保険を支払った場合、最高で2万⑤,000円が控除できます。 |
小規模企業共済等掛金控除 | 1年間に支払った掛け金の全額を控除できます。 |
税額控除を増やす
上記の所得控除は税率をかける前の課税所得を減らすため、最終的な節税額は税率をかけた分になります。
税率10%ならば、がんばって控除を10万円増やせたとしても、節税額は10万円×10%=1万円と威力が落ちます。
ところが、ふるさと納税は税額を直接減らすことができる威力のある特殊な控除です。
10万円ふるさと納税をおこなうと、定額2,000円を差し引いた約9万8,000千円を減額することができます。ほとんど満額ですね。
オススメのふるさと納税については下記でご紹介しています。良ければご覧ください。

ふるさと納税最高!
Coming soon・・・
そもそも課税誤りがないか
住民税は複雑な制度であることはここまで読んできてご理解いただいたと思います。
複雑な制度であるがゆえ、課税誤りが発生することもあります。
私はお金に関することはほとんどすべて再計算するのが趣味なのですが、課税誤りを発見して訂正を受けたことがあります。。
届いた納税通知書の数値が、自分が手元で再計算した数値と一致しなかったため、市役所に直接電話して問い合わせたところ課税誤りが発覚しました。
やりとりの結果、後日訂正版の納税通知書が郵送されてきました。
公的な書類なので間違えるはずがないと鵜呑みにしていると危うく損をするところでしたね。
一連の出来事についてはこちらの記事にまとめています。マネーリテラシーを上げる意味でもぜひご覧ください。

オーマイガ!
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は住民税の基本的な仕組みとすぐにできる節税対策をご紹介しました。
新卒社会人の方は2年目から課税される住民税にご注意ください。
「税金を制する者はおトクを制す」
税制改正などもあるので正しいルールを把握するのが大変な分野ではありますが一つ一つ身につけて自分の力にしていきたいですね。
今回は以上です。それでは引き続き一緒にがんばりましょう!
コメント