こんにちは、サメハダです。
皆さん、トライオートETFのレンジをどのように決めていますか?
証拠金やロスカットレートによっても変わってくるのでかなり悩ましいトコロですよね。
今回は過去の値動きを分析して、妥当と思われるレンジ戦略について考察したいと思います。

データ分析から戦略を立てよう!
結論
結論から述べます。次のようなカバー率早見表を作成することができました。


さっそく内容をご説明します!
レンジとは
まずはレンジについて簡単におさらいしたいと思います。
レンジとは「仕掛けるトラップの範囲」のことです。最も高値のトラップと最も安値のトラップの価格幅が”レンジ”となります。一般的に他の自動売買会社においても使われる用語です。
- トラップを仕掛ける範囲。
- 最も高値のトラップと最も安値のトラップの価格差。

レンジ設定の基本レンジと価格の関係
レンジ設定の基本として、レンジと価格の関係についても確認しておきましょう。以下、買いポジションにおける3つのケーススタディです。
①価格がレンジの上へ抜けた場合
上へ抜けた場合は、売買の機会損失が発生します。ただし、取引による損失は発生していないため致命傷にはなりません。

②価格がレンジの下へ抜けた場合
下へ抜けた場合も機会損失は発生します。さらに、含み損が膨らみ証拠金の額によってはロスカットの危険性が増します。これは上抜けと異なり致命傷になり得ます。

③レンジを広げる戦略はどうか

レンジを広くとり、証拠金を多く詰むことで、機会損失もロスカットの危険性も軽減することができます。しかし、未可動部分の資金効率が落ちてしまうという問題が発生します。
さらに、チャートが大きく下げた場合は過剰なポジションを持つ可能性があります。「未可動部分を含めた潜在的に取りうる最大のポジション」について証拠金を積むことを考えると、必ずしも広いレンジを設定することが正解とは言えません。
- レンジが狭いと資金効率が上がるが、機会損失やロスカットの危険性が増す。
- レンジが広いと機会損失は回避できるが、資金効率が落ちる。
なお、ロスカットについては最終的に証拠金を多く積むことで回避することができます(力技ですが)。しかしながら、ほとんどの方が運転資金に限りがある状態であり、効率については最大限化させたいという願いがあると考えています。
そのため”レンジ戦略”が重要となってきます。
過去チャートを2つの切り口で分析
そこで今回はレンジを狭めることを前提として、そこから下抜けする可能性を過去チャート使って検証したいと思います。
下落率については次の2つの切り口を考えました。
- 一か月間の”高低差”を基準とする
- 過去の最高値からの”下落率”を基準とする

さっそく見てみよう!
使用した過去データ
いつも通り、データはインベスティングドットコムさんからダウンロードしました。現時点で、2010年2月11日~2021年7月2日の日次データが取得できます。


ありがとう!Investhing.comさん!
分析Ⅰ:一か月間の”高低差”を基準とした場合
計算の前提
1か月の日足チャートにおいて、最高値と最安値の差を”高低差”と定義しています。さらに、基準価格が過去と現在では大きく異なるため高低差は金額でなく割合で表示することにします。割合のベースとなる価格は最高値を使用しています。
「高低差」はマネースクエアのトラリピでも用いられている指標です。
高低差割合=(最高値-最安値)/最高値
例えば、2021年6月の日足チャートだと、高低差は25.86円となり、高低差割合は21.0%となります。

集計結果
集計結果は次の通りです。緑が最高値、赤が最安値です。価格差割合は青い線で示しています。

高低差割合は年によってばらつきが見られますが、周期性があることが見て取れます。
40%以上の高低差割合になった時期は、2010年、2011年、2015年、2018年、2020年の5回です。最大は2020年のコロナショックで、60%を超えています。
高低差割合は実際の値動きであり、月間の最高値からどれだけ下落したかを表しています。よって、高低差割合はそのまま下落率と置き換えることができます。
1か月の価格差割合は1か月の下落率と考えられる。
高低差割合に基づくカバー率
下落率(高低差割合)の頻度分析から「想定レンジ」と「そのカバー率」を求めることができます。


- 2つの表は基本的には同じ情報を示しています。
- A1は、想定レンジ(左側)を決めたときに、価格変動をどの程度カバーするのか(右側)を知るための表です。例えば、想定レンジを30%と決めたとします。カバー率は88.7%です。例えば、ある月の最高値が100ドルの場合、その月の値動きにおいて70ドル以上で推移する確率が88.7%あり、逆に70ドル以下へ下落する確率は11.3%あるということです。
- 確率の考え方として、1か月20営業日の場合、20日×88.7%≒18日は70ドル以上で推移し、2日は70ドル以下に下落する、という捉え方ができます。
- A2は、カバー率(右側)を決めたときに、それがどの程度のレンジなのか(左側)を考えるための表です。例えば、カバー率90%を確保したいと考えた場合、想定レンジは31%となります。これは、仮にこれまでの最高値が100ドルなら、100×30%=30ドルなので、70~100ドルのレンジにトラップを仕掛ける、という戦略に繋がります。
- レンジからカバー率を知りたい場合と、カバー率からレンジを考えたい場合、どちらのパターンにも対応できるようキリの良い数値で2種類作成しました。
分析Ⅱ:過去最高値をからの”下落率”を基準とした場合
計算の前提
次に、過去最高値とその日の安値との差額を下落率として集計します。先ほどと異なり最高値は1か月でリセットされず維持されます。高値が一度更新されると再びそれが維持されます。
最大下落率=(過去の最高値-その日の安値)/過去の最高値
集計結果
集計結果は次の通りです。緑が過去の最高値、赤がその日の安値です。下落率をパーセントで表したものが青い線です。

先ほどとほぼ似たような形状となりました。やはり下落率に周期性が見られます。40%以上の下落率を示す時期は、先ほどと同様、2010年、2011年、2015年、2018年、2020年の5回です。
過去最高値を使っているため、先ほどよりも下落率の数値が全体的にやや大きくなっています。最大である2020年コロナショックにおける下落率は70%を超えています。
最大下落率に基づくカバー率
先ほどと同様に、頻度分析を行い「想定レンジ」と「そのカバー率」を求めます。使い方は同じです。


考察と戦略
最後に結果を踏まえた上で、個人的なレンジ戦略を述べさせていただきたいと思います。

- 表によると、下落率10%のカバー率は7.3%~48.1%とバラツキが大きい。
- 下落率20%のカバー率は50~70%で安定する。
- 下落率30%のカバー率は80%~90%とかなり高い水準となる。
- 分布はファットテールと呼ばれる状態であり、レンジを広げるほどカバー率の増加は緩やかになり、レンジを広げる効果が薄まる特徴がある。
- 下落率20%のカバー率を50%とすると、20%以上下落しない確率も50%存在する。つまり、20%以上のレンジを設定することは、1か月間(Aの試算)、もしくは高値を更新するまでの期間(Bの試算)において、2回に1回は資金効率を落とす状態と考えられる。
- もちろん、レンジを広げることで機会損失の排除と、安全面の向上に繋がるという利点がある。
- 個人投資において、日々価格をチェックし、必要に応じてメンテナンスできる状態であれば、レンジを下へ抜けるリスクは発生した場合に対応すると割り切っても良いと考える。
- 従って、資金効率を重視し、想定レンジは10%~20%程度が妥当と思われる。
- なお、上値を追うトラップはリスク管理戦略とは別次元だが、下値同様に10~20%にしておくことで、メンテナンスしやすくわかりやすいと考える。
- 総括して、上下合わせて20~40%のレンジが一つのターゲットと考える。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、TQQQの価格チャートから1か月高低差と最大下落率による2種類のレンジカバー率早見表を作成しました。
早見表の結果が少しでも皆さんのより良い戦略に貢献できたら嬉しく思います。
まだまだ様々な分析を続けていくつもりです。より良い分析と情報提供ができるよう頑張ります!
以上です。ではまた!

最後まで読んでくれてありがとうございます!
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