こんにちは!
寝ても覚めても、トライオートETFの利確幅について悩んでいるサメです。
巷ではトラクラお漬物部が生まれ、利確幅を大きくする設定がブームになっています。
最適な利確幅については、このブログでも過去に何度か分析してきましたが、個人的にはもっともっと解析的な答えがほしいと思っていました。
今回は、トライオートETFで最大リターンを得るための最適な利確幅を考えるために、中間値の法則について計算、ご説明していきます。

あけましておめでとうございます!

今年も爆益にむけてレッツゴー!
結論: 利確幅を高値と安値の差の中間値にしたときに最大リターンとなる
具体的な数字で内容を見ていきましょう。下図のように、100㌦と200㌦を行ったり来たりする完全なレンジ相場(ボックス相場)では、利確幅を高値と安値の差の中間である50㌦にすることで、確定利益が最大になります。(これを「中間値の法則」とします。)

- レンジ相場において、最大リターンとなる利確幅は、高値と安値の差の中間の値。

以降の記事で、詳しい計算を見ていくよ。
まずは2021年の振返り
2021年11月は最高値更新が続いた

2021年のTQQQの相場を振り返ると、11月中は最高値が更新され続けたため大きな利益が得られました。
自動売買では、狭い利確幅はより小さい決済されやすく、広い利確幅は決済されにくいという特性があります。利確幅の異なるトラップを複数設定すると、それぞれ決済タイミングが異なるのが通常ですが、最高値更新の時はどの利確幅の玉も大抵は決済されるため、まとまった利益確定が行われ、結果としてリターンが大きくなります。
2021年11月は、9月につけた最高値を更新し続ける相場が続き、爆益となった人も多かったのではないでしょうか。
2021年12月は反落
何を隠そう私も爆益を喜んだ一人です。そして調子に乗って安直にポジションを増やしすぎました。
その結果、12月にコロナウイルスのオミクロン株の拡大懸念等で一時▲20%程度まで下げた相場の中で低下してゆく有効比率に翻弄されてしまい、うまくポジションを掴めませんでした。
この時の反省ツイートがこちらです。
なんかぶつぶつ言っていますね。でも、上値を追うか下値を追うかは非常に重要なテーマですし、同じような意見もツイッター上で見られました。
改めて考える自動売買における利確幅の特性
1.利確幅は唯一のリターンに影響する要素である
トライオートETFの設定要素は5つあり、下記図のようにリスク・リターンに影響する要素とリターンに影響する要素に大別できます。

これらの要素は、さらに細かく分類することができますので、改めて役割を確認していきましょう。
1-1.ポジション量に影響する項目( ①レンジ、②本数、③口数 )
このとき、①レンジ、②本数、③口数についてはポジション量を機械的に決める要素です。ポジション量は多ければ多いほど損益も大きくなるため、リスク・リターンに単純に連動するようなある意味無機質な要素です。
1-2.レバレッジに影響する項目(④証拠金)
④証拠金も①~③で設定したポジションに対して、どの程度のレバレッジを効かせるのか(元本のようなもの)を決める要素であり、これも リスク・リターンに単純に連動する無機質的要素です。
1-3.確定利益に影響する項目(⑤利確幅)
一方、⑤利確幅は、ポジション量やレバレッジに直接影響しません。利確幅が大きければ大きいほど、ポジションやレバレッジが直接的に大きくなることや、その逆はありません。
利確幅は確定利益というリターンを直接コントロールする要素です。非常に戦略的な要素であり、そのため様々な手法が存在します。
2.利確幅はバックテストで明確な結果を得ることができる
トライオートETF(TQQQ・SSO)の利確幅は過去データにおけるバックテストから、利確幅が大きければ大きいほどリターンが大きくなるということが明確に証明できます。
これはここ数年の株価上昇相場の特徴であり、そのため自動売買でなく現物保有(ガチホ)の方が有利だとされています。
これまでのバックテストの問題と限界
過去には上記の記事で公式のビルダーを使ったバックテストを行い、得られた分析結果で理解が深まりましたが、一方で問題も感じていました。それは、テスト期間が2~3年と長く、その期間の値動きも大きいため、レンジを広く設定せざるを得ないというある意味限定的な条件での試算だったという点です。

上記記事では、TQQQとSSOの比較条件を揃えるため100㌦のレンジに100本トラップを敷きましたが、今の価格から100㌦の値動きを狙って自動売買を実践しているような人は少数で、非現実な状況だと思います。通常はもっとレンジを狭めて勝負するはずです。
その点で、バックテストは自動売買の中で銘柄同士を比較する上では有効な検証ですが、現物保有(ガチホ)などと単純な比較はできないものだと考えています。
個人的には仕掛けのレンジを狭めた(10~20㌦程度)より現実的なシミュレーションを行いたいと思っているのですが、なかなか難しいです。
①まず、詳細なヒストリカルデータがありません。手元にあるのは日足チャートくらいです。
②次に、データがないのであれば乱数シミュレーションでも良いのは?と思われそうですが、確率過程を用いた試算では長期的にはおそらくガチホが勝ちます。正規分布に基づく長期の試算はあまり面白みがない気がします。

③最後に、私の技術レベルの問題です。複雑すぎるプログラムは書けません。(草
できるだけシンプルな相場を想定してシミュレーションを行う
さて、ここからが本題です。現時点では複雑なシミュレーションは対応できないため極力シンプルな相場を考えます。
完全な上昇相場
下図のように、究極的にシンプルにした完全な上昇相場を考えてみましょう。例として、一度も下落することなく100㌦から200㌦に上昇した相場を考えます。

このとき利確幅は次のようなジレンマの状況に陥ります。
利確幅 | メリット | デメリット |
---|---|---|
大きいとき | 安値の領域では確定利益の金額が拡大 | 高値の領域では確定できない玉が増加 (含み益は残る) |
小さいとき | 高値の領域で確定できない玉が減少 (確定利益が発生する) | 安値の領域では確定利益の金額が縮小 |
メリット・デメリットがきれいにトレードオフの関係となり、あっちを立てればこっちが立たず状態です。
利益の計算
次に、確定利益の金額を比較してみます。


高値200㌦、安値100㌦の上昇相場において、利確幅を10㌦~100㌦の10通り試算したところ、利確幅が50㌦のとき確定利益は最大の2,500㌦となりました。
これは確定利益の式が上に凸の二次関数であり、最大値はR=(H-L)/2のときという数式の展開からも確認できます。


これが今回ご紹介したかった中間値の法則です。
- 上昇相場において、最大リターンとなる利確幅は、高値と安値の差の中間の値。
今回のシミュレーションでは、ビッド・アスクのスプレッドは考慮していません。また、100㌦から200㌦までの価格差はちょうど100㌦ですが、ここに1㌦毎のトラップ敷くと101本になります。本文では、よりわかりやすい表現となるように便宜上100本で計算した箇所が多くあります。つまり、厳密には200㌦でなく199.999…㌦まで上昇した場合を考えています。ご留意願います。
さらに深堀り:中間値以外の利確幅の挙動を確認してみる
ここまでで確定利益が最も大きい利確幅は中間値であることがわかりました。
ここからは、利確幅と広げた場合と狭めた場合についてもチェックしていきましょう。見るべきポイントは次の2つです。
- Total・・・確定利益と評価損益の合計損益(表c)
- ガチホとの比較(ガチホが何倍稼いでいるか)(表f)
① 利確幅を広げた場合(100㌦)
表の右側の100㌦に着目します。

ポイント | 数値 | 判定 |
---|---|---|
Total(表c) | 4,950㌦ | 良い |
ガチホとの比較(表f) | 2.02倍 | 悪い |
利確幅100㌦のとき、自動売買のTotal損益は4,950㌦で した。つまり利確幅を広げると、Totalのリターンが大きくなります。
一方で、ガチホとの比較では、 悪い結果となります。自動売買では利確幅を広げるほど決済が遅れ、ポジション量が増えます。比較するガチホのポジション量もそれに合わせた場合、自動売買よりもガチホの方が利益が増加するペースが速く、利確幅を広げるほど差が拡大します。
利確幅100㌦のとき、自動売買のTotal損益は4,950㌦ですが、ガチホは10,000㌦と、その差2.02倍と2倍以上の差がついてしまいます。

ちなみにガチホの計算式は次のとおりです。

極端な話し、ガチホと比べる必要はない、という主張もありえるとは思います。しかし、含み益は幻であり、精神面にも影響するため、個人的には自動売買とは相性が良い戦略ではない気がしてしまいます。
- メリット・・・トータルの利益が増える
- デメリット・・・ガチホとの差が拡大する
では反対に利確幅を狭めてみたらどうでしょうか。
② 利確幅を狭めた広げた場合(10㌦)
表の左側の利確幅10㌦を確認してみましょう。

ポイント | 数値 | |
---|---|---|
Total(表c) | 940㌦ | 悪い |
ガチホとの比較(表f) | 1.06倍 | 良い |
上の表のとおり、Total損益は悪いものの、ガチホとの差は小さくなり良い結果となります。
ただし、これはこの完全な上昇相場のみの限定的な結果です。もしも次のように上昇してから下落した場合、マイナスポジションが増えて、評価損失が大きく膨らんでしまいます。


利確幅10㌦の評価損益は▲4,150と一転して悪い結果となります。
なお、この山形の相場のケースはどの利確幅でも損益がマイナスですが、そんな中でも利確幅50㌦が最もマシであり、損益合計が高くなっていることがわかります。

- メリット・・・上昇時はガチホとの差が縮小する。
- デメリット・・・下落時に含み損が増え、確定利益とのバランスが悪い。

結局のところ、どういう戦略がいいの!?

下の記事でまとめたよ〜!
レンジ相場でこそ威力を発揮する中間値の法則
これまで利確幅を広げたときと狭めたときのメリットとデメリットについて確認しました。トータルの利益を取るか、ガチホとの比較を取るか、悩ましいところです。
ここで、10㌦の説明時にご紹介した山形の相場がヒントになります。山を増やして上昇が複数ある完全なレンジ相場を考えてみます。

上昇と下落を繰り返すレンジ相場では、確定利益の影響が評価損益の影響より相対的に大きくなります。詳しい計算は割愛しますが、最終的に確定利益を最大化する中間値(=50㌦)が損益合計でも最大となり、ガチホとの比較においても最大のパフォーマンスを発揮することになります。

現実の相場で完全なレンジ相場はほとんど見られないものの、計算上の答えとして中間値の法則は非常に有効です。覚えておいて損はないと思います。
- レンジ相場こそ確定利益が重要
- 確定利益を最大化するのは中間値の法則
おまけ:ガチホに勝つには
ガチホとの比較についてやってきたので、おまけとして、ガチホに勝つための戦略について考察したいと思います。
上昇相場ではガチホに勝つのは正直難しいが
2021年のSPXLとTQQQのトータルリターンは100%近い数字でした。
これは年利20%~40%とも言われているトライオートETFを遥かに超える驚異的な数値です。つまり結果的にTQQQをガチホしておいた方が儲かったという結論となります。
しかし、それは上昇相場で最も威力を発揮するレバレッジETFの特徴であり、そして2021年がかなりの上昇相場だったという結果でしかないと思います。
自動売買では、現物保有に比べて、上昇時はもちろん、横這い相場や下落相場でも利益を出せるポテンシャルがあります。
上昇相場に強いガチホに対して上昇相場という相手にとって有利なフィールドで勝とうとするのはムチャなのであきらめましょう。w

- 上昇相場ではガチホが有利なのは仕方がないと思われる。
- 自動売買は全相場対応型のオールマイティな投資であることを忘れない。
ガチホと比較して自動売買に有利な相場については次の記事で考察しています。
レバレッジ”2倍”という示唆
ただし少しだけ希望もあります。トライオートはCFD取引であるためレバレッジを掛けられるという点です。

先ほどから使っていた表に、比較率があります。表の数値は上昇相場においてガチホの方が1.34倍~2倍の利益を出していたことを意味しています。
つまり、逆に言えば1.34~2倍のレバレッジを掛けることで、この相場においてはガチホを上回れるということです。
または、一度下がってまた上がる、という確定利益が2回発生するような相場であった場合、中間値の法則がガチホを上回る可能性があります。

タラレバを言い出すとキリがありませんが、なかなか興味深い結果です。^^
- レバレッジ1.34~2倍の設定にすることでガチホを上回る可能性がある。
- 相場次第ではガチホを上回る可能性がある。
レバレッジ1.34倍や2倍のポジション量については、次のように逆数を使って簡易的に計算できます。
レバレッジ2倍・・・1/2=0.5なので、価格が100㌦とのときに50㌦まで耐えられる証拠金比率となるようなポジションをとること。
レバレッジ1.34倍・・・1/1.34=0.746なので、価格が100㌦の時に、25.4㌦まで耐えられる証拠金比率となるようなポジションをとること。
2022年に向けた設定
さて、来年からの取引スタイルですが、これまで上値を更新し続けると盲目的に考えていた部分がありましたが、今後は上値と下値を意識した上で、その中間値となるような利確幅を設定していきたいと思います。

そんなことが簡単にできたら誰も苦労しないのでは・・・?

未来の相場は誰にもわからないけど、相場変動のアンテナを張るのは大切なこと。
利確幅を5㌦・10㌦・20㌦・40㌦…と指数関数的に大きくして複数セットするという次のアイデアに続きます!
ツイートに対する自分なりの答えとしては、このようなイメージです。指数関数的な利確幅のセットについてはまたの機会に考察したいと思います。
総括
簡単に総括します。
- レンジ相場において、確定利益が最大となる利確幅の決め方として「中間値の法則」(高値と安値の差の中間をとる)について解説。
- レンジ相場であるほど、「中間値の法則」は威力を発揮する。
- 高値と安値の予想は難しいが、投資する上で相場観を養うことも大切。
- 自動売買とガチホは性質が異なるので、理解した上で選択しよう!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、確定利益が最大となる利確幅の決め方として「中間値の法則」をご紹介しました。
正直、確定利益だけでなく、含み損益まで考え始めるとパターンが複雑化してしまいますね。なんとか言いたいことが上手く伝わるように頑張りたいと思います。
指数関数的な利確幅については、①ヒストリカルデータに基づく下落率20%、②200日移動平均線、③フィボナッチ比率なども考慮すると面白いのではないかと思っています。確率乱数によるシミュレーションもおいおいやりたいです。
2022年もスイスイ泳ぎ切ってやりましょう!
今回は以上です。ではまた!

本年もどうぞ宜しくお願いします。
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