こんにちは、サメハダです。
引き続き効率的フロンティアがテーマです。
理論編では2資産のポートフォリオを例に基本的な考え方をご紹介しました。
今回は実在する4資産(S&P500、米国債、REIT、金)の接点ポートフォリオを求めてみます。
使用する価格データは、商品の過去データですので、今後の投資戦略にぜひご活用ください。
それでは参ります!

代表的な4資産だね!
接点ポートフォリオの資産配分計算結果
さっそく結論からお伝えします。4つの資産の接点ポートフォリオにおける資産配分は、S&P500が85%、米国債が0%、REITが0%、金が15%という計算結果になりました。


想定よりかなりアンバランスな結果となった思います。詳細を見ていきましょう。

次の章以降で具体的な計算内容についてご説明します。
計算の前提
商品選定
一般的な投資対象有価証券は次のような種類が存在します。
- 株式
- 債券
- REIT
- コモディティ
- その他(ファンド等)
今回は上記を丸ごと含むように4つの商品を選定しました。
- 米国S&P500指数(”SP500”と表記します。)
- 米国2年国債先物(”米国債”と表記します。)
- 米国パワーリート(”PW”と表記します。)
- 金先物(”金”と表記します。)

幅広い選定ですね!
バランス型ファンドは数多くの種類が存在します。実際に売られている商品で計算しようと考え、つみたてNISAでも採用されている優良投資信託である「つみたて8資産均等バランス」を検討しましたが、今回は見送りました。
理由としては、保有資産が多く計算に手間がかかる割には、ごちゃごちゃして上手く伝わらない可能性があったことと、金が入っていないかったからです。
今回採用した4資産における計算が最も幅広い選定だと考えていますが、機会があればこちらの計算結果もご紹介できればと思います。


こっちは均等割合で保有するコンセプトだね。
データ元
データ取得元は今回もインベスティングドットコムさんを利用させていただきました。いつもありがとうございます。

Investing.comさん、いつもありがとうございます!
使用する価格データ
価格データをダウンロード・加工して使用しました。
- 直近10年間(2011年1月1日~2021年6月28日)の週足データ(2,866個)をダウンロード
- いずれも終値を使用
- データの欠損は無し
- 価格を変動率に変換し計算
- “期待リターン”としてダウンロードした価格データの平均変化率を使用
- ”標準偏差”としてダウンロードした価格データのヒストリカルボラティリティを使用
- 資産配分は5%毎に変化(1,771通り)
数学的な話に興味がある方は次のクマちゃんの質問にお付き合いください。興味ない人は飛ばしましょう!

3変数以上のとき、分散の足し算はどうなる?
理論編でお伝えした加法定理は2変数まででした。3変数以上のときは次のようになります。



4資産を5%毎に配分するパターンは何通り?
私は”コンビネーション”の考え方を使えば求められると考えました。皆さんはいかがでしょうか。
- 「5%カード」20枚と「仕切り」3個を並べる組み合わせ。
- 「仕切り」ごとのカードの合計値を左から順に商品の割合とする。

計算の過程を簡単に紹介
今回は自分用にエクセルシートを作成し計算しました。自分用なので見た目が悪いのはご容赦ください。
公式では相関係数が出てきましたが、エクセルでは分散共分散を計算するCovariance関数を使ってダイレクトに計算しています。

資産配分に従って合成したリスクリターンが計算できます。

接線を使うので傾きを求めています。

グラフと結果
計算結果は次のようになりました。
投資可能範囲



接点ポートフォリオ
安全資産を設定し、接点ポートフォリオを求めます。

接点の構成比率が”接点ポートフォリオ”です。

無リスク資産0%~1%の範囲で0.1%ずつ変化させたとき、接点ポートフォリオは次のように計算できました。
接点ポートフォリオ:資産配分計算結果

こちらが計算結果です。


- 無リスク資産のリターンが0.05%のとき、S&P500が85%、米国債が0%、金が0%、REITが15%という計算結果になりました。(最初にお見せした結果はこの数値です。)
- 無リスク資産のリターンが上昇すると、S&P500の比率が下がり、REITの比率が上がりあがります。0.25%でREIT100%になります。
- 米国債、金の資産配分はいずれの場合もゼロでした。
総括
- 計算結果は、ここ数年好調の株価とREITのパフォーマンスを反映した結果となっていると思います。
- 国債と金の配分がゼロであったことは意外でしたが、接点ポートフォリオは単体のリスク・リターンをプロットした表でもわかるとおり相互の位置関係で変わります。今回採用した商品ではこのような結果になりましたが、商品や期間を変えることで結果も変わってくると考えられます。
- 心構えとしては、国債や金はパフォーマンスを出すためのモノでなく、リスク管理のツールとして認識しておくのが良いと個人的には思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は効率的フロンティアの4商品編として、実在する4資産のポートフォリオの接点ポートフォリオを計算してみました。
結果としては、株式中心のポートフォリオにREITをトッピング。国債と金はリスクヘッジ要因として保有する、というのが結論から読み取れたかと思います。
また、今回使用した計算ツールは使いやすいように更新した上で公開予定ですので、是非ご活用ください!
他にも計算依頼等があれば問い合わせページかツイッターからご連絡ください。
今回は以上です。ではまた!

最後まで読んでくれてありがとう!
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